2008
2009
2011
2018
2019
2020
2021
2022
2023
2008年1月~混声合唱団名古屋大学コール・グランツェ第30回記念定期演奏会
委嘱ステージに寄せて
名古屋大学コールグランツェの30周年記念演奏会開催おめでとうございます。
今回、信長先生の紹介もあり、指揮をさせていただくことになりました。合唱とは出会いの 芸術・・・、経緯はともかく、このたび名古屋の地で指揮をする機会を与えていただいたことに感謝申し上げるとともに、グランツェと出会い、そこに集う人と出会い、新しい曲と出会い・・・、数々の出会いに満ちた場にいることに大きな喜びを感じるものであります。
さて、大学に勤務する者としても、昨今の大学事情により一緒に集まって練習することが必要 な大学合唱団にとっては厳しい環境があることは十分に理解をしております。またクラブサー クルが継続していくためには、先輩と後輩の関係が大事で「先輩がしっかり教え、サポートして、 受け継いでもらっておかねばならないこと」と、「後輩たちが、失敗を恐れずに自分たちでチャ レンジしておかねばならないこと」との両方があり、クラブサークルに対する愛情が深ければ深 いほど上手く協同することは実はそれなりに難しいものです。しかしながらグランツェの学生た ち(特に執行学年)のエネルギーには圧倒されっぱなしでした。また、合同練習で見られるOV さんたちとの絶妙のコンビネーション(歌やマネジメント)には感動いたしました。とても良い 具合に30年間という歳月が積み重なってきたのだなあと感じたものです。
歌は人生を反映します。
クリアな音を求めるだけなら一つのジェネレーションだけで纏まってしまったほうが扱い易いサウ ンドが生まれるでしょう。しかしながら、一つの言葉に、一つのフレーズに思いを宿す歌声は、 様々な年輪や世代の人が混ざり合うことによって初めて「織り成されていく」気がしています。 そして、このように一つの思いを引き継ぎながら
ジェネレーションの混在する合唱団によって信長先生の「宝石箱」のようなこの曲集がどのような色に輝くのか、とても「わくわく」しています。
どうかこの記念すべき会場いっぱいに音楽の喜びが広がりますように!
2009年1月~混声合唱団名古屋大学コール・グランツェ第31回定期演奏会
演奏会に寄せて
信長貴富先生の新曲初演(OV合同)となった昨年の30周年記念演奏会は私にとっても 非常に思い出深い演奏会となりました。ジェネレーションを飛び越えてOVさんとも一体 化したあのステージの熱気は今でも鮮明に蘇ってきます。しかし、さらに素敵なことは昨 年の演奏会が「新しい出会いの場」となり、今年の演奏会に繋がったことかも知れません。
昨年の練習中から仲良くなり、時に関西の私の合唱活動の現場にまで遊びに来てくれるメ ンバーたちに「久しぶりに大学生らしいバイタリティを見た」という感慨を持ったもので す。一つの出会いから双方向で新しい世界の扉が開かれていく様子が楽しく、お蔭様で期 待と喜びをもって今年の演奏会を迎えることが出来ました。
さて、彼らが選択した曲「蜜蜂と鯨たちに捧げる譚詩(オード)」は東京混声合唱団が 一般合唱団と競演するために作曲された三善晃渾身の2群合唱で、とても中規模の大学 合唱団が簡単に取り上げるような曲ではありません。しかしながら、この曲と出会い、 触発され、自分の中の世界が広がること、深まること、本物の音楽のみが持つ「人の人生に根底から問いかけ、変革していく力」をグランツェのメンバーが潜在的に求めてい ることを察知しました。
大学生に求められていることは、少しでも上手く歌うことではないでしょう。人生にお ける最も多感な時期、「今しかない」というこの時期に、安易な答えの見つけ ようのない「問いかけ」や本物の「芸術の魂」に触れ、知性と感性と体力とを総動員し てひたむきに自分自身の中から表現出来るものを探し出し、挑む…ということではない かと思うのです。(同じように合唱に打ち込んでいた私自身の大学時代がまさにそうだ ったからです。)
かけがえのない「今日の演奏」に賭けるグランツェメンバーの気持ちを想像するだけで、 自分自身の気持ちが掻き立てられるようです。
今日の日がまた新たな出会いの扉を開いていくことになりますように…。学生と一体となって一生懸命の演奏を披露出来ればと思います。
2010年1月~名古屋大学混声合唱団コール・グランツェへのメッセージ~
名古屋大学「コールグランツェ」第32回演奏会の開催おめでとうございます。
30周年のOV合同を指揮させてもらったご縁で「音楽監督」という立場で音楽活動を見守ってまいりましたが、今期のグランツェもまた思い切った方向に舵をきった一年でした。
コンクールへの初参加(中部支部大会銀賞)は、周囲を驚かせるチャレンジでしたが、迷った場合はより「積極的」な選択をするのが学生時代の醍醐味。苦労やリスクもあったはずですが、決断後の努力やプロセスで得たことは必ずや今後の活動に生きていくはずです。
私自身、大学合唱の先輩として思うのですが、大学生の合唱団というのは、決して結果による一喜一憂ではありません。自分達の知性と感性と体力とを総動員して大きな物事に当たっていくこと、 そのプロセスで時に仲間とぶつかったりもしながら、世界観や価値観を広げていくこと、想像力を 養っていくこと、が最大の魅力だと感じています。
今年はステージにはおりませんが、神田先生のもと声を整えながら、美しいハーモニーを聴かせてくれていることでしょう。来年にはまた楽しみなチャレンジが待っております。わくわくするような行動で、合唱界を活性化させていって欲しいと思います。
2011年1月~混声合唱団名古屋大学コール・グランツェ第33回定期演奏会
コールグランツェ演奏会に寄せる
名古屋大学「コールグランツェ」第33回演奏会の開催おめでとうございます。
今年もグランツェは思い切ったことにチャレンジしています。昨年に続けて出たコンクールでは、初めて中部大会金賞を貰うことが出来ましたね。残念ながら全国大会の切符を獲得することは出来ませんでしたが、多くの1年生とともに思い切ってチャレンジしたことで、数年間続けてきた学生らしい積極路線が大きな推進力を生み出しているように思います。大学合唱の先輩として思うのですが、大学生の合唱団というのは、決して結果による一喜一憂ではありません。自分達の知性と感性と体力とを総動員して大きな物事に当たっていくこと、そのプロセスで時に仲間とぶつかったりもしながら、世界観や価値観を広げていくこと、想像力を養っていくこと、…が最大の魅力でしょう。最近のグランツェの活動にはその学生らしさが充満しており、思い切ったチャレンジをしてくれることが魅力だと思います。さて、この演奏会では「委嘱初演」!学生らしい生き生きとした表情で歌ってくれればと思っています。
2018年2月~混声合唱団名古屋大学コール・グランツェ第40回定期演奏会
コールグランツェ演奏会に寄せる
名古屋大学「コールグランツェ」第40回演奏会の開催おめでとうございます。私とグランツェとの出会いは第30回演奏会の委嘱作品「いろとりどりのうた」をOV合同で演奏する際に、作曲の信長先生から指揮者として私を指名していただいたことに始まります。あれからついに10年が経過したのですね。当初20~30人だった現役メンバーがここまで増えてくれたことは嬉しい限りで、昨今のコンクール全国大会での偉業(2年連続金賞)なども大変立派なことですが、私には30周年の委嘱に向けてエネルギーを注いだT君や、とても現役生には思えない落ち着きぶりのMちゃんや、某大先生に駅の構内を走らせたK君や、頑張り過ぎて救急車を呼ぶ事にもなったW君らをはじめ、少ない人数の頃に敢えて2群の合唱曲(三善晃の「蜜蜂と鯨たちに捧げる譚詩」)を選曲して喉が千切れるほどの全力で歌ってくれたメンバーも含めて、10年間の現役生の頑張りが等しく思い出されます。この間、名古屋に練習に行くことは私にとっては常に嬉しいことでした。それは、グランツェメンバーの練習に取り組む姿勢の中に常に謙虚にして意欲的なものがあるからなのです。その気持ちを大切に学生らしく頑張り続けてください。
さて、最近のグランツェには「合唱物語?」という新しいジャンル開拓に加担していただいております。2年連続で山下祐加先生に素敵すぎる作品(「夢見る翼の歌」「青をめぐるクジラ」)を作っていただきましたが、今年はこれまた大人気作曲家の相澤直人先生に楽しい作品を作っていただきました。意欲的な中身を若い感性の皆さんとともに一緒に演奏することが楽しみでなりません。
今日という日がグランツェにとっても私にとっても、関係する方々や客席の皆さんにとっても特別な日としてその思い出の中に刻まれることを願っています。「音楽は人生を変え、人生を支えてくれるものだ」ということを信じ、気持ちの篭った演奏を目指しましょう。
2019年3月~混声合唱団名古屋大学コール・グランツェ第41回定期演奏会
コールグランツェ演奏会に寄せる
名古屋大学コールグランツェは今年出場した全日本合唱コンクール札幌大会でもスーパーな頑張りを見せてくれました。前日が授業日程のため、名古屋からの最終便で札幌に入るということは聞いていたのですが、なんと機体トラブルで飛行機が飛ばなくなったのです。そこから急遽深夜に羽田空港に向かい、空港で一夜を明かした彼らは、当日の早朝に羽田から千歳に飛び、バスで移動をしてきたのですが、そもそも雪が降り出しており、思うようにバスも進まないまま、ホールの集合時間ぎりぎりに間に合ったのでした。もちろん、予定していた早朝の練習は全くしないまま、人数が多いため12分のリハ時間でも全曲を通せないまま「ぶっつけ本番」状態での演奏でしたが、見事な演奏をして2位金賞を獲得しました。改めて学生の力を思い知りましたし、気転を利かせて逆境を跳ねのけるだけでなく、彼らのメンタルには、「間に合って良かった、これでちゃんと聞いてもらえる」という喜びに満ちており、私は心底「学生って凄いなあ、良いなあ、一生懸命にやったことは何でも良い思い出になるなあ」と思いました。
さて、この間、私とともに「合唱物語?」という新しいジャンル開拓に加担していただいてくれている名古屋大学コールグランツェですが、このようにコンクール一辺倒でなく演奏会での積極的なチャレンジの数々が彼らの闊達な精神を支えているとも思います。昨年はついに「カレーの歌」(相澤直人作曲)まで歌ってくれたのでしたが、今回は、少し「お話し的要素」の強い「猫町物語」です。日ごろから敬愛するなかにしあかね先生には本当に素敵な曲を作ってもらうことが出来ました。演出、朗読にもお世話になり、様々なことを学び試しながら「キャッツ」を超える?舞台作りにチャレンジしてくれるものと思います。どうぞお楽しみに。
音楽を楽しむひとときが、私たちみんなの人生を支えるひとときになりますように。
2020年3月
2021年2月
コールグランツェ演奏会に寄せる
「名古屋大学コールグランツェ」の皆さん、試行錯誤を重ねての演奏会開催に心から敬意を表します。昨年はちょうどこの時期が新型コロナウィルス流行の初期に当たり、開催そのものが危ぶまれましたが、不安と戸惑いの中で達成した演奏会として胸に強く焼き付けられています。その当時は、まさかこの状況が1年も続き、今日の演奏会が今年のグランツェの唯一の演奏機会になろうとは思ってもいませんでした。「今年こそは」のはずが、あろうことか、その後、新勧活動や練習そのものに制限が加えられ、大学にも入れない状態が続く等、昨年にも増す苦労の一年となってしまいました。長い歴史の中にはいろんな時代があるのだと思います。困難を極めたこの一年、歯を食いしばって活動を持続させてこられたことは、華々しい活躍の年にも増して尊い努力の一年だったと思っています。ぜひ、この渾身の努力を誇りに合唱団としての歩みを進めてください。
さて、名古屋大学コールグランツェとともに演奏する「合唱物語」は、私の合唱人生の楽しみの一つでもあります。そもそも合唱部(大学)より先に演劇部(小学校)に入った私は、昔から演劇や物語を朗読することに対する憧れがあり、表現活動というものは全て地下では繋がっているものだと考えています。身体を通して歌や言葉を表現することを目指す合唱物語はグランツェという合唱団を大きく成長させてきてくれたと思います。今年は練習そのものに時間が避けず、大胆な演出も出来ませんでしたが、二口先生や広田先生のご指導に加え、先輩から受け継いだ精神性がこの演奏会を支えていると思います。そして皆さんの今の努力もまたグランツェのこの後の歴史に大きな影響を与えるものだと思います。今日の演奏会は常に未来への第一歩だということですね。再び手を繋ぎ、肩を抱いて、私たちの連帯を芸術で表現出来る日が早く来ることを願っています。
2022年
コールグランツェ演奏会に寄せる
「名古屋大学コールグランツェ」の皆さん。「今年こそは」のはずが、あろうことかこの苦境は2年間にも及んできました。その中でも、心折れることなく、工夫をしながら活動の灯を保ってこられたことに心から敬意を表します。音源審査になってしまったコンクールは燃焼しきれず残念でしたが、やれることを探しながら手探りを続けた上回生、この状況の中で合唱活動を選択してくれた下回生、の双方の努力が、本日の演奏会への道を切り開いていると思います。
さて、毎年のことですが、名古屋大学コールグランツェとともに演奏する「合唱物語」は、今年で8回目を数え、すでに私の合唱人生の楽しみの一つでもあります。また、「名古屋大学コールグランツェ」が合唱の世界に残してきた貴重な足跡だとも思います。そもそも、表現活動というものは全て地下では繋がっています。言葉や音楽からイマジネーションを育み、身体を通してそれを表現することを目指す合唱物語は、グランツェという合唱団を大きく成長させてきてくれたと思います。今だに大胆な演出が出来ず、苦労が絶えませんが、二口先生や広田先生のご指導に加え、先輩から受け継いだ精神性がこの演奏を支えていると思います。今日という日がグランツェにとっても私にとっても、関係する方々や客席の皆さんにとっても特別な日としてその思い出の中に刻まれることを願っています。「音楽は人生を変え、人生を支えてくれるものだ」ということを信じ、気持ちの篭った演奏を目指しましょう。
2023年2月
コールグランツェ演奏会に寄せる
「名古屋大学コールグランツェ」の皆さん、3年も続くこのコロナ禍の中で試行錯誤を重ねて、粘り強く合唱活動をされていることに心から敬意を表します。昨年に引き続いて「今年こそは」のはずが、なかなか思うに任せない活動の日々だったろうと思います。しかしながら、苦労しながらの活動は、長い歴史の中で尊い努力として語り継がれるはずです。ぜひ、この渾身の努力を誇りに合唱団としての歩みを進めてください。
2024年2月
コールグランツェ演奏会に寄せる
「名古屋大学コールグランツェ」の皆さん、たくさんの元気な1回生を迎え、再び大人数を取り戻そうとされている姿に敬意を表します。県のコンクール前にピアノを囲んで音を確認した男声陣が合宿を超えると勝手に上手になっていたことにも驚かされました。皆さんの頑張りはもちろんですが、制限が多く厳しい時代に先輩たちが工夫しながら耐えてくれたことにも大いに感謝したいです。人間関係の縦と横のつながりを大事にしながら学生の特権でもある「全身全霊」や「渾身の努力」で合唱団の歩みを進めてください。