同志社グリークラブ

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(年度表記)


2007年8月~同志社大学&信州大学グリークラブジョイントコンサート
同志社グリークラブ&信州大学グリークラブジョイントコンサートに寄せて

ちょうど2年前の夏でしょうか?京都において、信州大学グリークラブ・同志社グリークラブを 含む三大学のジョイントコンサートが行われました。その時の信大グリーの歌声と、打ち上げの 席での縁?から出会いが進展し、昨年「同志社グリークラブ」は中村先生に客演指揮をしてもら い、私は信大グリーのお隣の?信州大学混声合唱団の演奏会で客演指揮をさせていただくことに もなりました。
ジョイントコンサートは時としてその演奏会だけでは完結しない副産物を生み出します。そこで 育まれた友情や出会いが、再び今日の日の演奏会を導いてくれたように思います。そして今日の 日の演奏会はまた、新しい物語の始まりを含んでいるようにも思います。
すっかり大好きになった長野の地でおいしい空気を吸いながら演奏出来ることを楽しみにしてい ます。


2010年12月 第106回定期演奏会
同志社グリークラブ第106回定期演奏会に寄せる

今年の同志社グリークラブは、残念ながら全日本合唱コンクールへの 出場はなりませんでした(関西2位金賞でした)。しかしながら、私としては、緻密な計画を立ててくれる指揮者の森崎君はじめ4年生の頑張りはもちろんのこと、厳しい練習に耐えた1年生、積極果敢な2年生、少ないが堅実な3年生、と、それぞれがしっかりと自分たちの学年の役割を果たしてチームとして機能した一年だったと思っています。 むしろ最近見たことがないくらい積極的な下級生や、関西大会後に近年珍しい「悔し涙」を見せた上級生メンバーを見て目標である「本格的復活」に向けての「手ごたえ」を感じる一年でもありました。同志 社グリークラブの本当の復活は、学生が生き生きと自由奔放に音楽活動している状態を取り戻すこと…、しっかり学んで音楽の本当の楽し さと豊かさを客席に伝えられる合唱団になることです。大学になってから合唱をやるメンバーが多い同グリのことですので、そのためには地道な反復練習をしつつ後輩をしっかり育てること、迷うことなく貪欲に目の前の活動に取り組むことが必要でしょう。今年の同グリの姿からは明るい未来を展望出来ました。ぜひ、「コンクールでリベンジ」 などという偏狭なレベルに留まることなく、リーダーシップを取り、 他団も巻き込みながら往年の大学男声合唱団の勢いを復活させてほしいものです。

さて、今年は大変ご多忙な中、尊敬する藤井宏樹先生、寺嶋陸也先生 をお迎えすることが出来ました。きっと学生たちは情熱ほとばしる演奏をしてくれることでしょう。技術顧問としては、「伝統とは常に革 新と試行錯誤の積み重ねであること」を説くアジテータとして、学生と一緒になって「一生懸命の一年を積み重ねていきたい」と思います。 それこそが新しい同志社グリークラブの歩みになるはずです。


2011年8月~ 四大学男声合唱団 サマーコンサート
Fragments~若者たちが歌う意味

「真青な空、ぽかんと浮かぶ白い雲、6月の知覧はもうセミの声がし て夏を思わせる」
…曲中にも使われた断片です。
今年の6月に合唱講習会で熊本に出向いた帰り、思い切って鹿児島の 知覧にまで足を伸ばしてみました。時折の青空と時折の大雨が交錯す るおかしな天候の中でしたが、どうしても特攻平和会館で、この地か ら飛び立ち亡くなった若者たちの直筆の遺書や遺稿、ノートを目に収 めておこうと思ったためです。まだ二十歳前後だった特攻隊員たちの 気品や高潔ささえ感じさせる洗練された言葉遣いを見るにつけ、その 裏に滲む不条理や悲惨、その命の掛け替えのなさを思いました。開聞 岳を臨み、遥か南方の空と海を眺めると、時空を越えて様々な思いが 巡り寄せてきました。
曲の背景については作曲家の解説をぜひご覧ください。
偶然の重なりですが、
この8月の初めに、全国から公募した学生40名を連れて大阪 (グローバルピースコンサート)と広島(平和への祈りコンサート) で「原爆小景(1,4)」の演奏をしてきました。本日の演奏会を含めこ の難しすぎる課題に、真面目に一生懸命に取り組む学生たちを見なが ら、戦争体験が風化していくぎりぎりのタイミングで、戦争を知らな い私の世代なりのミッション、私の立場で果たすべき役割というもの を強く感じることなりました。
シュプレヒコールだけではなく、私たちが歌を歌うことの意味と価値、 歌の持つ影響力、若者たちが歌を歌うことで育まれ、喚起される「想 像力」こそを未来への力として信じたいと思います。


2012年12月 第108回定期演奏会
演奏会に寄せて

私とともに金賞を目指してチャレンジした全国大会では、残念ながら銀賞にとどまった今年の同志社グリーラブでしたが、嬉 しいことに定期演奏会では京都コンサートホールの大舞台に戻ってきました。そして、もうかれこれ10年以上見たことのなかった50人を超えるメンバーで舞台に立つことが出来ます。 なんと素晴らしいことでしょうか。4学年合わせても20人台や30人台前半しかいなかった時期に頑張ってくれた先輩たちの努力を含め、今年の4年生をはじめとする現役グリークラブの一生懸命の頑張りに敬意を表したいと思います。

さて、今年は大変ご多忙な中、私たちの誇る偉大な先輩でもあり、全日本合唱連盟理事長を務めておられる浅井敬壹先生 をお迎えすることが出来ました。きっと学生たちは情熱ほとばしる演奏をしてくれることでしょう。私のほうは千原英喜先生の人気作品「雨ニモマケズ」の男声合唱版の初演をさせていただくことになっています。四回生から下回生へのメッセージともとれるこの作品の練習を通して、グリークラブの連綿と続く魂のようなものに思いを馳せることが出来ました。108回を数える定期演奏会ですが、私たちには究極的には守るべき伝統的スタイルなどないのだと思います。そんなことはどうでもよくって、あるとしたら、ひたむきに歌うこと、 しかも熱く熱く熱く歌うことのみなのでしょう。この魂を引き継いでくれている今年の同志社グリークラブの精一杯の演奏をお聞きください。


2014年12月 第110回定期演奏会
演奏会に寄せて

私とともに全国大会を目指してチャレンジした合唱コンクールでしたが、 残念ながら関西大会では関西学院に及びませんでした。音楽が勝ち負けではないということは自明のことではありますが、人生を左右するのでないけど懸命に頑張りたい運動会と同様、現在の同志社グリークラブにとっては、技術を上げるため、力を付けるため、明瞭な結果の出るコン クールは良い試練とチャレンジの場にもなっております。悔しさを胸にさらに立派に育ってくれることでしょう。何しろ私の目標は合唱コンク ールなどより遥か遥か向こうですから、小さな達成感で「自分で自分を褒める」ようなことなどなく、挫折や悔しさや無念を糧に夢をどんどん膨らませてほしいと思います。

さて、私自身の現在の音楽活動は全て同志社グリークラブの存在によって発芽し、開かれてきたものです。私がそこで出会った先生や先輩や後輩たちとの活動を一生の財産にしている以上、私の使命はこの同志社グリークラブが生命を輝かせながら歌声を響かせるのを見守り続けることでしょう。長い歴史があるからと言って、守るものなど何もありません、その時々の現役生がひたむきに歌うことの連続が振り返れば歴史になるだけです。熱く熱く歌うこと、それだけを目標に、精一杯導いていきたいと思っています。
私は本当は「技術など知らん、魂で歌い続けろ、同志社グリークラブ!」 とのみ連呼していきたいのです。


2016年12月 第112回定期演奏会
演奏会に寄せて

全国大会を目指してチャレンジした合唱コンクールでしたが、今年も残念ながら関西大会で関西学院に遠く及びませんでした。音楽が勝ち負けではないということは自明のことであり、私も師匠からは繰り返しそのように刷り込まれて来ています。しかしながら、一度は10人台で東西四連に臨んだ同志社グリークラブにとって、現在は技術を上げるため、力を付けるため、 ある種の明瞭な結果の出るコンクールが良い試練とチャレンジの場にもなっております。立派なライバルがいることに感謝しつつ、悔しさを胸にさらにたくましく育ってくれることでしょう。
しかしながら、私の目標は合唱コンクールなどより遥か遥か向こうにあります。小さな達成感で「自分で自分を褒める」ようなことなどなく、挫折 や悔しさや無念を糧に夢をどんどん膨らませてほしいと思います。皆さんの歌が、他者の人生に影響を与えるものであり、自身の人生を支えるものであり、社会を変革するほどの力を持つものであることを私は信じています。
後先考えずに熱く熱く歌うことが「途方もない出会いを求める我ら」の回り道であるとも信じています。
私の使命はこの同志社グリークラブが生命を輝かせながら歌声を響かせるのを見守り続けることでありたいのです。無理なく出来ることなど何もありません。力の限りを尽くし命を燃焼させて、ありったけの声で歌を歌い続けてください。


2019年2月 第114回定期演奏会
演奏会に寄せて

私とともに全国大会を目指してチャレンジした合唱コンクールでしたが、残念ながら全国大会の出場は叶いませんでした。音楽が勝ち負けではないということは自明のことではありますが、懸命に頑張りたい運動会と同様、現在の同志社グリークラブにとっては、技術を上げるため、力を付けるため、明瞭な結果の出るコンクールは良い試練とチャレンジの場にもなっております。悔しさを胸にさらに立派に育ってくれることでしょう。決して小さな達成感で「自分で自分を褒める」のではなく、悔しさや無念を糧に夢をどんどん膨らませてほしいと思います。
さて、古代ギリシャ人の言葉を読んだことがあります。次のようなものでした。「人間には3種類ある、1つ目がすでに死んでいるもの、2つ目がただ生きているだけのもの、3つ目が海を渡って旅しようとするもの…。」
先輩たちが委嘱をし、校祖新島がイメージされた『帆を上げよ高く』を歌われる皆さんにぴったりの言葉だと思いました。長い歴史があるからと言って、守るものなど何もありません。その時々の現役生がひたむきに歌うことの連続が振り返れば歴史になるだけです。
「同志社グリーのメンバーよ、帆を上げよ高く!」…そう連呼したいと思っています。


2020年2月 第115回定期演奏会
演奏会に寄せて

1年間を振り返ってみると、グリークラブにとって盛りだくさんの出来事があった年かと思います。良いことも悔しいこともたくさん思い出されますので、総じて充実した一年となったと言えるのではないかと思います。でも、一生懸命の取り組の中で起こったことは全てクラブの歴史となり、メンバーの経験や心の財産になっているのでしょう。京都で開催された全国大会では、プレッシャーのかかる中で見事に出場を果たし、立派な演奏をしてくれました。金賞への思いは後輩に引き継がれたと思いますが、なかなか叶わぬ目標があり続けることは頑張る原動力にもなるものです。
さて、今日はOBとの合同ステージも含め、大きな晴れ舞台となります。同志社グリークラブの伝統とは決してベルトコンベヤーのように当たり前に受け継がれていくものではありません。特にこの20年間のクラブの状況を間近で見ているものとしては、一年一年の学生たちの必死の努力と懸命の工夫によって繋がれていくことを実感します。多くの人に応援してもらえる多彩なステージを現在持っている精一杯の力で表現して欲しいと思います。


2021年1月 第116回定期演奏会
同志社グリークラブ定期演奏会に寄せる

今年は100年を超える同志社グリークラブの歴史の中でも未曽有の危機となる一年であったように思います。東西四連もジョイントコンサートも演奏旅行も合宿も、再興を期した関西六連(五連で再開予定であった)も、全て叶わなくなりました。チャレンジする機会を奪われるだけでなく、様々な制約の中で、日々の練習すら満足に出来ず、合唱そのものを取り巻く無理解とも戦いながら必死に活動自体を守ろうとしてくれた執行学年のことを思うと、自分のことのように悔しくてなりません。
しかし、OB会はじめ、逆に様々な方の助力に支えられながら、本日、考えられる感染対策を万全に施し、各種のガイドラインを遵守した形での演奏会の開催が出来たことに感謝をいたしております。4回生も、このコロナ禍の中で入ってくれた1回生を含めた下回生に将来を託しながら、力いっぱい熱唱してくれるでしょう。
当たり前のような日常の価値を今ほど実感出来る時期はありません。本日はオンラインも含めた開催となり、新たな可能性を展望する機会にはなりますが、音楽も演劇も、そして生活そのものも、生身と生身との対面でしか伝わらないものがたくさんあることも事実です。再び、手を繋ぎ、肩を抱き合い、声を張り上げ、コロナによってもたらされた「分断」から「連帯」を取り戻さねばなりません。その連帯の象徴が「熱い合唱」であることを信じています。


2022年2月 第117回定期演奏会


2022年3月 フェアウェルコンサート
「今こそ底力を!同志社グリークラブ」

そのうちに収まると願ったこのコロナ禍でしたが、なかなか終わりの見えない状況が続きます。華やかな活躍を夢見ていた4回生にとってはさぞや無念の二年間であったことでしょう。しかし、諦めることなく、努力と工夫を重ね、関西合唱コンクール、定期演奏会では見事に魂の歌唱をしてバトンを繋いでくれたことに感動しました。卒業生はグリーの魂を胸に自信を持って人生を歩んでください。
在団生は、いよいよ近年最少の人数からのスタートとなります。例えばどんなに人数が減ったとしても先輩たちの魂を受け継ぎ、たくましく道を切り開いてください。必ず夜は明け、頑張りが実を結ぶときが来ると思います。
You will never walk alone …フェアウェルで歌われてきたこの歌詞は、決して卒業生のためのものだけではなく、試練の道を歩み始める現役生のためのものでもあります。現役、OB一体となってこの困難を力強く乗り越えていきましょう。


2022年6月 第70回東西四大学合同演奏会
「月光と四連とピエロ」について

初めて買った合唱のレコードには、北村協一指揮による関学グリーの「月光とピエロ」が収録されていました。(併録は福永陽一郎指揮による早稲グリの「月下の一群」)
初めて客席で聞いた四連の合同は山田一雄指揮による「月光とピエロ」でした。踊るピエロに衝撃を受けたものです。初めてオンステした四連では、畑中良輔指揮による慶應ワグネルの「月光とピエロ」のリハーサルをこっそり聞かせてもらい、唸りながら学生指揮者になろうと決意しました。そして4回生、同志社グリーの学生指揮者として臨んだ四連の曲は「月光とピエロ」でした。福永陽一郎最後の四連となりましたが、棒が冴え渡り、私はこのまま倒れても良いと思うような夢の体験をしたものです。
「月光とピエロ」の曲の素晴らしさは、指揮者と演奏者の人間性そのものを反映してしまうことだと思っています。福永陽一郎は演奏を前に「最近ようやく私の中に自然と音楽が満ち溢れるようになってね」と語りました。私の中にはまだ心配と不安と計算と決意があるのみです。しかし、この曲に宿るエネルギーとこの四連が育んだ歴代メンバーの気持ちが演奏に命を与えてくれるでしょう。男声合唱の宝とも言えるこの曲に挑むことで、この場が再び若者たちの熱狂の場として蘇ることを願っています。


2023年2月 第118回定期演奏会


2024年2月 第119回定期演奏会
新たなる旅立ちへ!同志社グリークラブ

当初はそのうちに収まると思い、願ったコロナ禍でしたが、延々と続き、ようやく昨年の5月から制約が解けるという状態でした。合唱やクラブ活動を取り巻く制約は厳しく、その後遺症はいまだに残っています。しかし、諦めることなく、努力と工夫を重ね試行錯誤してくれた現メンバーを誇りに思うとともに、特に同学年がほとんどいなくなっても頑張ってくれた今年の4回生については、長い歴史の中でも殊更頑張ってバトンを繋いでくれたメンバーとして語り継いでいきたいと思います。ありがとうございます。
さて、在団生は、いよいよ新たなる同志社グリークラブの歴史を作っていくために全力投球してもらうときが来ました。4月の新歓では最大限のエネルギーを注ぎ、たくさんの新人を獲得するとともに、同志社グリークラブの魂を持って新たなる旅に向かってください。現役、OB一体となって120周年の記念の年が迎えられるよう一層の努力していきましょう。