合唱団うぃろう


2010年2月~合唱団うぃろう 第1回演奏会
合唱団うぃろう第1回演奏会によせて

関西を中心に活動している私が名古屋の地に大きな縁(ゆかり)を持ったのはもう3、4年前になるでしょうか。名古屋大学コールグランツ ェの30周年記念の委嘱曲を指揮させてもらったことが切っ掛けだったと思います。その後、矢継ぎ早に東海メールクワイヤーや愛知県合唱祭、 愛知県の講習会なんかでもお世話になり、特に若いメンバーと仲良くさ せていただきました。皆人なつっこく、素直で、前向きで、合唱に対する熱い姿勢を持っており、私自身も構えず自然体で付き合わせてもらいました。

そんな彼ら(彼女ら)が、大学を卒業しても歌える場が欲しい、大学合唱団の枠を超えていろんな人と一緒に音楽に取り組みたい、と作ったのがこの「合唱団うぃろう」です。当然の成り行きで私もこの新しい合唱団の立ち上げに参画することになりました。うぃろうメンバーは、味も様々、個性も様々です。その後、ジェネレーションや出身の異なるメン バーも増え、望んだ通り一般合唱団としての必要な要素も整ってきました。昨年の合唱祭での微笑ましいデビュー、京都の「アルティ声楽アンサンブルフェスティバル」での熱唱を経て、本日、第一回演奏会にこぎつけられたことを嬉しく思います。潜在的な合唱力を持っているこの名古屋の地から、若々しい歌声で日本の合唱界に向けて新しい風を吹き込 む役割を担ってくれればと思っています。

さて、今日の演奏会は嬉し恥ずかしい第一回目の演奏会。バレンタインデーということで、少し張り切り過ぎたかもしれません。「愛」を隠しテーマに…、新しい合唱団が取り組むには少々プログラムが欲張りなプログラムですが、それもまたご愛嬌。合唱に対しては常にチャレンジ精神と大らかに楽しみ味わっていける団体でありたいと思います。

作曲家の松波先生からは、新しい合唱団の立ち上げを祝福していただけるかのように曲をプレゼントしてもらいました。ステージで紹介したいと思います。どうぞお楽しみに。


2024年5月~合唱団うぃろう
一杯のコーヒーから

ブランコ乗りの女性に恋をして、永遠の命と引き換えに人間になった天使は、初めて「寒さ」というものに気づきます。コートの襟を立て、手のひらをこすり合わせながら、彼が飲んだのは屋台の熱いコーヒーでした…。
私の好きな映画のワンシーンですが、彼の身体に広がっていったのは、「温もり」とともに「生きていることの実感」であったように思います。

さて、合唱団うぃろうの本年度の新作は、待ちに待った相澤先生の合唱曲です。
花咲く夢の物語、楽しくも美しいメロディー、朗らかさの中にも苦みの滲むハーモニー、…一杯のコーヒーから紡ぎだされた音楽は「日常の隙間」…、そこからから覗く「ほのかな夢や思い出」のようですね。
長かったコロナ禍もようやく先が見えようとしています。
寒い朝のコーヒーのように、「歌」が冷えた身体を温め、ゆっくりと夢や希望を語り合うきっかけを作ってくれますように。


2024年5月
海と空のあいだ

「うみ」と「そら」の間に私たちがいる
私たちは繰り返す波の音を懐かしみ、風に乗る白雲に姿に自由と憧れをみる
いつからか、いつまでも…
でも、私たちは、海には潜れず、空を飛ぶことも出来ないのに、…いや、だから「強く思う」のでしょうか
「歌」は、そんな私たちの孤独に寄り添う「竪琴」と、想像力に寄り添う「翼」を与えてくれるようにも思います…。

さて、長かったコロナ禍の制限も終わり、その間様々な苦労を伴う影響を受けて来ましたが、昨年からはようやく思うような活動が出来るようになりました。前を向いてたくましく歌を歌っていきたいです。
本年度は、宮本正太郎先生の新曲です。うぃろうの新曲委嘱活動もついに8人目の作曲家を迎えることになります。
新しい音楽を愛知県から、というのが結成以来の掛け声であり、その間、多くの先生方の素晴らしい才能やご厚情に恵まれてきました。しかし、新しい音楽は、私たちが呼吸をし、気持ちを込めてこの世の中に「メッセージとして」送り出すべきものなのです。この意欲がこれからも私たちの活動の原動力となり、そうやって歌った歌が誰かの心に響き、世界に波及していきますように。