アンサンブル・ミカニエ


2010年1月~Diligo Musica &Ensemble Mikanierジョイントコンサート
ご挨拶

本日、アンサンブルミカニエ、ディリゴムジカという二つの若い合唱団 のジョイントコンサートが開催されます。
個性的な指揮者を擁するこの2団体の頑張りについては、合唱団の立ち上げ前夜から関心を持ち、音楽監督的な立場から応援もしてまいりましたが、それぞれの地に若い歌声を結集させることに意欲を持ち、新しい歌声、新しい文化創造の種を撒こうとされている逞しい姿に感銘を受 けています。実際問題として、合唱団を維持発展させていくことは多大なエネルギーを費やすものです。音楽的な要素だけではなく、メンバー 集めの問題や運営マネジメントの問題、それぞれが生活を維持しながら 音楽と付き合っていく時間を割いていくことの根本的な問題、…特に現在は活動の試行錯誤時期でもあり、メンバーの皆さんも様々な陰の努力をされていることでしょう。しかしながら、どんな輝かしい団体も、どんな素晴らしい音楽も、そういった小さな努力の積み重ねが根底を支え てきているのだと思います。是非とも、地道な努力を継続し、それぞれの地に芽が出て豊かな音楽の樹を茂らせてください。私も応援しながらゆっくり見守っていきたいと思います。

さて、この似通った性格を持った2団体が仲良くなり、海を越えて!ジョイントコンサートにこぎつけたことを大変嬉しく思っております。指揮をさせていただく合同曲には、今を時めく大人気作曲家である信長貴富さんの最新曲を選んでみました。
2010年という新しい年の幕開けに、新しく生まれた曲を若々しい歌声で響かせてみたいと思います。ここから生まれた出会いがさらなる連鎖によって新しい音楽文化の創造に繋がって行きますように。今日の日 が豊かな日々の幕開きとなりますように。


2010年9月~アンサンブル・ミカニエ第3回演奏会へのメッセージ~

「アンサンブル・ミカニエ」第3回目の演奏会おめでとうございます。
合唱団創設に関して阪本君と話をしていたのが昨日のことのようですから、もう3回目の演奏会 を迎えられることを嬉しく思うとともに一つの区切りとしての感慨のようなものさえ感じます。 合唱団というのはテクニックを備えることだけではなく、「たくさんの曲に出会い世界を広げる こと」「仲間と信頼し合うこと」「たくさんの仲間と交流しながら人生観や世界観を分かち合って いくこと」が大事だと思います。そういう意味で、創設からの年月はミカニエをいろんな意味で 成長させてくれていることだと思います。
この1月には徳島の「ディリゴムジカ」とのジョイントコンサートで合同ステージを指揮させて もらいました。それまで「音楽監督」とは名ばかりで、なかなか直接顔を出せず、メールで阪本 君にアドバイスするばかり?でしたが、年末の合宿を含めてミカニエの仲間ともいろんな話をす ることが出来ました。若いメンバーが小さな努力を少しずつ積み重ねて合唱団を成長させてくれ ていることもよく分かり、ますます嬉しく、親しく、頼もしく思ったものです。1月の「かなうた」 も気持ちがぐっと入った感動的な演奏でしたが、今日の演奏会もまた楽しみなプログラムです。 音楽の喜びをたくさん分かち合ってください。
そして、ますます太陽をいっぱい浴びてたくさんの実のなる「みかんの木」のように育っていって ください
。 今日は大阪から精一杯の「応援エネルギー」を送ります。
また一緒に活動出来る日を楽しみにしています!


2012年4月~アンサンブルミカニエ&合唱団こさじ ジョイントコンサート
ジョイントコンサートに寄せる

『合唱団:小さじ』と『アンサンブル・ミカニエ』のジョイントコンサー トの開催、おめでとうございます。和歌山と鳥取(太平洋と日本海?) というかなり離れた地で活動をしている小規模の合唱団同士が出会い、 一つのステージに立ち音楽をする…。そう考えただけでもワクワクし ますが、同じ場面に立ち合い、合同ステージを指揮させていただける ことに大きな喜びを感じています。
合唱とは、どう頑張っても一人では出来るものではなく、声を合わせ ることによって何かを分かち合い、伝え、何かを成し遂げられる芸術 だと思います。なので、このような人間同士の繋がり、仲間としての 繋がりこそが活動の財産となるのではないでしょうか。このようなジ ョイントコンサートは時としてその演奏会だけでは完結しない副産物 を生み出します。今日の日の演奏会が、きっとまた新しい何かの物語 の始まりにもなるように思います。
さて、その合同で演奏させていただくのは、今を時めく人気作曲家 (合唱指揮者)の相澤直人さんの新曲(委嘱初演)です!。スタイル の異なる6つの曲が送られてくるたびに、驚き、感心し、感嘆しなが ら楽譜を見ておりました。既存の合唱組曲ともスタイルが異なり、各 曲が独自性を保ったまま一連のものとして寄り添っているように見え る曲集(混声合唱アルバム)となっています。新しい出会いずくめの 中で、このような素晴らしい曲の誕生に関われたことに感謝しながら 張り切って演奏したいと思っています。

合唱とは、 「ほかの誰かと心を合わすことの大切さ」
「私自身のかけがえのなさ」
この2つのことに同時に気付くこと・・・このステージの終曲のように あれたら、と思っています。


2012年9月~アンサンブル・ミカニエ第5回演奏会へのメッセージ~

「アンサンブル・ミカニエ」第5回目の演奏会おめでとうございます。
素晴らしいことに、もう5回目の演奏会になるのですね!!?。正直いつま で続くのか…、と心配しながらの船出でもあったのですが、一つの区切りに もなる5回目の演奏会を迎えられることは、その間の苦労を考えると本当に 立派なことだと思います。音楽監督とは名ばかりではありますが、学生時代 から熟知している阪本君をはじめ、私の活動やいろんな演奏会に顔を出して くれるメンバーも多く、直接の練習回数のわりには、私の意図や方向性を受 けて活動をしてくれているような気がし、大きな信頼感と親しみを持って見 守っております。この4月には鳥取の「小さじ」とのジョイントコンサート で合同ステージを指揮させてもらいました。今回はその再演もあり、なんと 今を時めく作曲者本人を招聘しているということもあり、大変楽しみな演奏 会となりますね!音楽の喜びをたくさん分かち合い、楽しい合唱活動をして いってください。太陽をいっぱい浴びてたくさんの実のなる「みかんの木」 のように大きく育ってくださいね。

関西を中心に活動している私が名古屋の地に大きな縁(ゆかり)を持ったのはもう3、4年前になるでしょうか。名古屋大学コールグランツ ェの30周年記念の委嘱曲を指揮させてもらったことが切っ掛けだったと思います。その後、矢継ぎ早に東海メールクワイヤーや愛知県合唱祭、 愛知県の講習会なんかでもお世話になり、特に若いメンバーと仲良くさ せていただきました。皆人なつっこく、素直で、前向きで、合唱に対する熱い姿勢を持っており、私自身も構えず自然体で付き合わせてもらいました。

そんな彼ら(彼女ら)が、大学を卒業しても歌える場が欲しい、大学合唱団の枠を超えていろんな人と一緒に音楽に取り組みたい、と作ったのがこの「合唱団うぃろう」です。当然の成り行きで私もこの新しい合唱団の立ち上げに参画することになりました。うぃろうメンバーは、味も様々、個性も様々です。その後、ジェネレーションや出身の異なるメン バーも増え、望んだ通り一般合唱団としての必要な要素も整ってきました。昨年の合唱祭での微笑ましいデビュー、京都の「アルティ声楽アンサンブルフェスティバル」での熱唱を経て、本日、第一回演奏会にこぎつけられたことを嬉しく思います。潜在的な合唱力を持っているこの名古屋の地から、若々しい歌声で日本の合唱界に向けて新しい風を吹き込 む役割を担ってくれればと思っています。

さて、今日の演奏会は嬉し恥ずかしい第一回目の演奏会。バレンタインデーということで、少し張り切り過ぎたかもしれません。「愛」を隠しテーマに…、新しい合唱団が取り組むには少々プログラムが欲張りなプログラムですが、それもまたご愛嬌。合唱に対しては常にチャレンジ精神と大らかに楽しみ味わっていける団体でありたいと思います。

作曲家の松波先生からは、新しい合唱団の立ち上げを祝福していただけるかのように曲をプレゼントしてもらいました。ステージで紹介したいと思います。どうぞお楽しみに。


2013年11月~アンサンブルミカニエ第6回演奏会
アンサンブルミカニエの演奏会に寄せて

阪本君と知り合ったのは、彼がまだ今よりほんの少しだけスリムで京都の大学生 だった頃のことでした。強面の雰囲気とは異なり、心の底からの音楽好 きだっ たことは十分知っていたのですが、まさか和歌山に帰って自ら合唱団を立ち上げ るなどとは思ってもいませんでした。 大都会ではないこの地において、一般の混声合唱団を立ち上げ、維持していくこ とは大きな困難の伴うことでしょう。しかし、意欲を持って取り組み、 しかも 委嘱やジョイント、様々な合唱祭への参加等、積極的な姿勢に満ちていることに は頭が下がる思いです。

さて、オフィシャルな文面では初めてカムアウトするわけですが、「いとうけいし」のペンネームである「みなづきみのり」の詩があの宮沢賢治の詩と 混ざり 合って構成されている「アポロンの竪琴」は私の大好きな曲です。すでに千原先生によって素敵な女声合唱曲になっており、多くの女声合唱団に よって歌われ ておりますが、私はいつか全曲指揮をしたいと思いながら、なかなかチャンスに 恵まれませんでした。このたび混声に委嘱されて、尊敬す る千原先生ご臨席の もと、小さいながらも(指揮者の身体は大きいが)頑張っている合唱団の仲間と ともに演奏出来ることに、とてもわくわくする気持 ちでおります。

この地の持っている海の色や空の色を、それらを吸い込んでいる歌い手とともに表現し、この合唱団ならでは(仲良しのお友達メンバーも少し助けてくれますね) の音を見つけてみたいと思っています。どうぞお楽しみください。


2017年12月~アンサンブルミカニエ第10記念回演奏会
アンサンブル・ミカニエ10周年おめでとう!

桃栗3年柿8年と言いますが、「葡萄の樹」の下で育った阪本君が和歌山の地に蜜柑の 木を植えて10年にもなるのですね。「上手いかどうか」という割とどうでも良い基準 ではなく、「個性的かどうか」という大事な観点に立ったとき、「アンサンブル・ミカ ニエ」は確実に一つの合唱団としての個性を確立しているように思います。これについ てはひとえに「音楽監督が放置することによってしっかり者が育っている」という一つ の成長スパイラルのモデルケースを実現しているように思っています。合唱団の運営は 音楽的な云々ではない部分での苦労と忍耐の連続だと思いますが(そのわりには指揮者 の体重が減らないのが不思議ではあります…)、ミカニエの皆さんには、自分たちの活 動のみならず私が不器用ながらも懸命に取り組んでいるイベントやプロジェクトについて も合唱団を挙げて協力・応援をしていただいています。私のほうが感謝の気持でいっぱい です。

蜜柑の木は確実に育っています。10周年の狩り入れの際には音楽監督の我侭にもより、 京都においてシューベルティアードを開催することになり、私も張り切っています。和 歌山のみかんが全国の食卓に運ばれているように、ミカニエの合唱がぜひ関西や全国の 合唱シーンに進出し、さらなる成長を遂げますように。20年目に向けてのスタートですね。期待しています。ともに頑張りましょう!!。


2019年12月~アンサンブルミカニエ第11回演奏会
合唱狂言?さ、さ、サンタクロース?

よく言うことですが、「個性的かどうか」という大事な観点に立ったとき、「アンサンブル・ミカニエ」は確実に合唱団としての個性を確立してきているように思います。これについてはひとえに「音楽監督が、焚きつけるだけ焚きつけた後に、酵母を入れてしばらく放置することによって勝手に合唱団は発酵している」という成長スパイラルの一つのモデルケースを実現しているとも言えます。その傾向は近年ますます際立ってきており、本日のプラグラムを見ても、松本望先生にお願いしての「合唱ポップス」、千原英喜先生の発案を受けての「メンデルスゾーンの無言歌を有言歌に」、そしていまだにその定義も何もない「合唱狂言!」…というアカデミズムとエンターテイメントを混ぜ合わせたような独自の路線には、合唱団の強烈なカラーとともに唯一無二性をも感じます。

もちろん合唱技術の習得に真摯であるという前提がなくては成立しない路線ですが、合唱の世界が音楽のジャンルの中でも小さく閉じ過ぎてしまわないためにも、非常に重要なチャレンジであるように思うのです。

さて、その合唱狂言ですが、昨年の打ち上げで与えられていた日本酒「紀土(純米吟醸)」の影響もあって、二つ返事で引き受けたものの、何をどうして良いか分からず、取り合えずスマートな二人が演じることだけを考えたテキストを作ってしまいました。今から考えると中学生のときに私が友達のノートに落書きした話をなぞっているように思いますが、恐る恐る提出したテキストには瞬時!!に曲が付けられて返ってきており、どんな球でも軽々と形にされる千原英喜先生の凄さを再確認するものでもありました。あとはひたむきに演奏するのみ。

ジャンルが何であれ、形が何であれ、歌や音楽が人の心を捉え、結び付け、励ましや憩いのひとときを与え続けるものでありますように。そのために私たちは真摯に音楽と演奏に向き合い、努力する態度を持ち続けなければなりません。

今年一年の様々なシーンを思い出しながら、反省と感謝と小さな微笑みを。


2020年10月~アンサンブルミカニエ第12回演奏会
灯りを消そう

このコロナ禍の中「アンサンブル・ミカニエ」は何とか演奏会にこぎつけることが出来ました。もちろん、好き放題が出来た去年の「合唱狂言~サンタクロースの巻」を思い出すと、今年はいつものようにはいかず、感染抑止に努め細心の注意を払いながら…、ということになります。練習には大きな制約がかかったり、なかなか踏み込めなかったりもどかしい思いをしたことも多かったと思います。このような時勢の中では、優先順位を考えて、我慢することも必要でしょう。しかしながら、継続的に明かりを灯しながら、低速度でも動いておおかないといけないこともあるのだと思います。

今日は、感染抑止を第一に考えて、オンラインとのハイブリッド演奏会ということになります。

音楽も演劇も生身との対面でしか伝わらないものがたくさんあります。しかし、このような状況だからこそ、気づいたことや大切だと感じたことがあったのも事実です。

今はあくまでも「やれることをやる」、そして互いに用心深く小さくともし合った明かりで、励まし合うことが大事だと思っています。

いつか手を繋ぎ、抱きしめ合い、身体ごと共感出来る日が来ることを信じ。


2022年11月
頑張れ、アンサンブル・ミカニエ

もう今年には終わっているだろうと思ったマスク生活ですが、まだ終焉が見えません。しかしながら、3年にも及ぶコロナ禍の中「アンサンブル・ミカニエ」は何とか工夫をしながら練習を重ね、今年も新しさと冒険心に満ちた演奏会にこぎつけることが出来ました。しかも、ゴージャスにも千原英喜先生と松本望先生をお招きし、今年も公募参加者を含めた演奏会を開催します。
日本語によるロマン派大作曲家シリーズは次年度への予告編として「くるみ割り人形」の冒頭のみをお届けしますが、委嘱初演の「南方熊楠はかく語りき」を含めた複数のステージを跨って繰り広げられる千原英喜先生の異次元ワールドは、音楽そのものの宇宙的な多様性を語るものとして楽しんでいただけます。毎年シリーズ化していた松本望先生の話題の「合唱ポップス」ですが、いよいよ楽譜にまとまり、本日の掉尾に全曲演奏されます。
木のホールにちなんだステージでには相澤直人先生の新委嘱編曲(みかんの木)あり、名田綾子先生の委嘱新作(バウム・クーヘン)あり、何とも見ごたえいっぱいです。このような種類の演奏会は、なかなか他に例をみないのではないでしょうか。「ミカニエ」は団の個性を大事にしながら、これからも小さくとも逞しい演奏会を開催してくれると思います。
いつか完全にコロナ禍が明け、再び手を繋ぎ身体ごと共感出来る日が来ることを信じ。