京都府立大学合唱団(よせて)


2017年12月~京都府立大学合唱団60周年記念のメッセージ~
京都府立大学合唱団60周年に寄す

振り返ってみると「京都コンサートホール」で40周年の記念コンサートを聞いたのが、もう20 年も前のことになってしまいました。私もまだ20代と30代の境目におり、まさかその10年後 に自分が50周年のコンサートを指揮しているなどと思いもしなかった頃です。そしてその10年 後の50周年で、私の立ち上げたばかりの児童合唱団(みやこキッズハーモニー)とともに演奏さ せてもらった「日本の四季(三善晃)」は今でも私の胸に焼き付いております。
「みやこキッズハーモニー」はおかげ様で昨年10周年のコンサートを行い、私がテキストを書き下 ろした合唱物語「さびしがりやのサンタクロース」を演奏しました。
つまり、それからさらに10年が経過しあの頃4、5年生だった主力メンバーは二十歳を超えた大学 生になっているのですね。
歳月が経つのは早く、その間にいったいどんなことがあったのだろうと思い返すとなかなか具体的な ことは浮かばずに、ただひたすら「時の流れに眩暈する」思いです。

さて、再びこの記念コンサートで合同演奏を指揮させてもらうことを嬉しく思っています。
ある世界的に高名なスペインの指揮者に聞いたことがあります。
「合唱において一番大切なことは何でしょうか?」
愚問と分かっていながら、私の英会話レベルでは複雑な質問が出来ず、つい口にしてしまった質問です。
すると、指揮者は少し考えたあとに笑顔で言いました。
「合唱はいろんなジェネレーションでやれる、年配者も若者も男声も女声も子どもも一緒になってやれる。 それが合唱の一番大切なところだと思う」
もちろん、こちらの質問の場面やシチュエーションによって答えは異なったのだと思いますが、予想外 の答えであったにも関わらず、非常に納得がいって大きく頷いたことがありました。

今回の演奏が、そのようなある種の合唱の本質を体現出来る演奏になりますように。多くの世代が合唱を 通して連帯感を持ちながら気持ちのこもった歌が歌えますように。微力ながら力を尽くしたいと思います。