2018年12月~どさんコラリアーズ 3rd concert
熱く歌え!
時折、私たちの愛する「男声合唱」というものが「音楽」や「合唱」と関連しながらも、やや独立した別のジャンルであるかのような錯覚を覚えることがあります。「白熱して過剰に交わされる薀蓄」「やがてそれを凌駕して爆発するエネルギー」「さらにそれを沈静化させる驚くような美しさ」の三層が順番に訪れるピュアな営みで、味わったことの無い人には決して説明しきれないので、他者からは「どうして男声合唱の人はあんなに熱くて、あんなに必死で、あんなに無邪気なのだろう」と思われることでしょう。
私がより自由で新しい合唱活動を夢見て、大阪で「なにわコラリアーズ」という合唱団を立ち上げたのはもう25年前になりますが、全国に仲間が散り、「やっぱり男声合唱じゃないと」と思うメンバーが集まり、各地で歌ってくれているのは嬉しい限りです。また、この合唱団を小学生の頃からよく知っている佐古君が文字通り懸命に指揮(その割には体重が落ちませんが)してくれており、一緒に演奏出来るのも嬉しいことです。加えて本日は「みなづきみのり」の名前で作詩している曲が歌われることになります。2人の素晴らしい作曲家によって、いずれも男声の「弱さ」「やさしさ」、そして「勇気」やそれを奮い立たせるための「励まし」を軸として素晴らしい楽曲に仕上げていただいています。この演奏会が男声合唱独特の魅力を多くの人々に実感してもらえる機会になればと思っています。
2023年12月 4th concert
3年以上にわたるコロナによる制限により、合唱界は多大な影響を受けました。特に(小学校~大学合唱に至る)若年層の合唱活動においては、団員の激減や団の消滅にも繋がり、いまだにコロナ前の状態に戻ったとは言い難い状況があります。しかしながら、「歌うこと」そして「ともに歌う」という活動そのものは、言い換えると人が「生きる」こと、そして「ともに生きる」という人間の活動として根源的なものであり、そんなに簡単に失われるものではありません。ぜひとも、力強く歌う「男たち」を見ながら、連帯し声を合わせてくれる人が現れることを願います。そしてそのような姿に影響を受け、憧れてくれる人が、各所で歌い始めてくれることを願います。「どさんコラリアーズ」にはぜひとも、北海道の、そして日本全体の合唱活動の復活のために、力強く、勇ましく、たくましく、やさしく、かっこよく歌ってもらいたいと思っています。まだまだ課題だらけですが、上手くなりたいという気持ちこそが成長を促します。今宵が、拙くとも「歌」の恵みを分かち合う良いひとときとなりますように。