日下部吉彦先生追悼
2018.1.14
合唱指揮者、音楽評論家の日下部吉彦先生がお亡くなりになりました。 ちょうど、2017年の年末、合唱指揮者協会関西支部主催の「学生年末合宿」の最終日に 訃報が入ってきました。例年ならば、この合宿に参加していただき、最後にはご挨拶しても らっていたのですが、前の月に関西支部代表を引かれたばかりでした。
私から見ると、同志社グリークラブ時代からの大先輩ですが、私の現役時代には直接にお話し をしたことはありませんでしたし、私が駆け出し合唱指揮者の頃は雲の上の存在でしたので、 とてもフレンドリーにお話を出来るような状況ではありませんでした。親しくお話させてもら えるようになったのは、合唱指揮者協会(JCDA)の関西支部を作られたとき以来でしょうか?
以後は、私自身の音楽への態度と活動内容を大変高く評価していただいたり、音楽談義をさせ てもらったり、とても良く引き立てていただきました。もともと私も音楽評論や文化、隣接す る芸術ジャンル一般に興味がありましたので、楽しい議論が出来たり、「ぜひこの演出を見て おけ」と、自身のプロデュースなさったオペラのチケットを融通してもらったりもしました。
特に印象深かったのは、私がペンネーム「みなづきみのり」を明かさないまま覆面で詩を書い ていたとき、ご存じないまま(ところで、この詩人はどんな人なんだろう?)と、テキストの ことに言及されたきっかけで自白すると「それは驚いた、しかし、ものすごく驚いたわけでは ない、伊東君なら書きかねないという気はしていたし、非常に腑に落ちた。」
と言って、たいそう喜んでもらったことです。
関西の指揮者協会でも次々にアイデアをいただき、人脈の紹介もしていただきました。
私のことはよく気にかけていただき、思い切ってやれ、思うようにやれ、という励ましの言葉 をもらい続けました。
基本は音楽本位、そして社会的な立ち位置からも是々非々で判断される方でしたので、その存 在自体音楽界、合唱界に大きく影響力を持つものであったように思います。
「なにわコラリアーズ」については、「東海道四谷怪談」のDVDをご覧になった際、「これは合 唱の歴史の中でのエポックメイキングな作品、そして見事に応えた演奏だ、凄まじい!!ブラ ボー」と興奮気味に褒めていただいたこともあります。
90歳の大往生とは言えもう少したくさんお話出来ればという思いは残ります。 ありがとうございました。