大学生へ!~コーラスめっせ2016より

2016.7.27

今年のコーラスめっせでは、「纏めて新勧~大学生集まれ」という企画を目玉に据えて みました。いくぶん詰め込みすぎた感はあるものの、500人もの大学生が集まり、そ こには100名を越す新入生もいました。関西が東京圏に対抗出来ることとして大学カル チャーというものがあります。何とかそれを結集してアピールしたいと思ったのです。

かつて関西の合唱の花形は大学合唱にありました。
百年を超す歴史を誇る関西学院グリークラブ、同志社グリークラブを始め、合唱文化は 大学カルチャーの中で育まれ発展し、様々な名演奏だけでなく、指揮者や声楽家、ある いは大学合唱のメンバーから派生して多くの一般合唱団を生み出してきたと言っても過 言ではありません。80年代の東西四連(昼夜2回公演)や関西六連は3000人収容 のフェスティバルホールを女子大生でぎっしり埋めていたものです。
もちろん、私はここにノスタルジーを持ち出すわけでも、それ以外の道と比べてウェイト 付けする訳でもありません。しかし、昨今の大学を取り巻く環境の変化(授業がびっしり 、資格講座や留学の奨励、女子大学の減少、就職活動の複雑化)は、多くの場合が、授業 をさぼって?合唱にのめり込んでいたからこそ発展した(語弊あり)大学合唱文化全開世 代からは少しかわいそうに思えるのも事実なのです。

さて、大学合唱の魅力は何でしょう!!
それは、自分たちが主体性を持って取り組むことの出来る合唱活動であるということです。 高校合唱はどれだけ優秀で、どれだけびっくりするような演奏をすることがあっても先生 にイニシアチブがある部分が多く、演奏内容はともかく、合唱団としては「リスクを抱え て自己決定する活動」には至りません。大学生になると、例えば親元を離れて一人暮らし をする人がいることから始まる自立性の確保、匿名性の海の中での自己アイデンティティ との格闘、いずれ社会システムの中で自活していかねばならない将来への漠たる不安と希 望が渦巻きます。その中での「スキルを獲得しながら仲間とともにチームを作り音楽表現 を模索する」合唱活動がいかに人生に深く関わり、多くの可能性を持っていることでしょ うか。
私はOBとして大学合唱の復権という言葉を使いたいわけでもありません。新しい時代、 つまり現代の大学合唱の環境の中で、大学生たちが誇りと積極性を持ち、体力と知性と感 性とを総動員しながら自らの合唱文化を築いていけるようにサポート支援、問題提起、ア ドバイスをしたいのです。

逆に、大学生たち、徒に保守的になりがちな活動から脱却し、固定観念に縛られずフレキ シブルな活動をしていくためには、「知識」が必要です。インターネットでの情報やユー チューブでの演奏やSNSでの繋がりなどに頼ってはなりません。本を捲り、先輩を尋ね、 先生を探して、たくさんの学びの中から新しい自分たちの活動を見出していってください。
たくさんの出会いの中から自らの道が切り開かれていくことを「先輩たち一同で」望んで います。