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うたうということ

よどこんライナーノーツ(2003.05)より

・・・前段略)ライナーノーツの締め切りを越えてしまい、今原稿を書いているのが、 5月6日ですので、2日前にあった「なにわコラリアーズ」の演奏会の興奮の余韻や 火照りがまだ取れない状態です。(しかも筋肉痛や疲れが2日後に出てくる状態で、 年齢と体力のなさを感じます。)
演奏会については、様々なことを勉強させていただきました。まず、駆けつけていただ いた多くの方、もしくは応援していただいた様々な声に関して感謝です。当時のよどこ んのメンバーを中心に20名で旗揚げして、いつかは「いずみホール」で演奏できたら ・・・という気持ちを持ち続けて活動してきたことが、先日の演奏会に繋がったというの はある意味、大きな感慨です。(満員というのは偶然の産物でしたが、これも大変あり がたいことでした)しかし、いずみホールであろうとなかろうと、自分がしたかったこ とはきっと「この仲間と歌を歌いたい」という気持ちではなかったかと感じます。

私というのは、どちらかというとナイーブな人間で、一人だと寂しいくせに幼い頃か ら社交的な性格ではありませんでしたし、世間的な人付き合いというのが得意な方では ありませんでしたから、自分のことを「合唱という世界」に拾ってもらった人間であると 思っています。一人では何も出来ませんし、なんの実力もありませんから、仲間を得たこ とに対する感謝の気持ちでいっぱいです。また、「なにわコラリアーズ」自体も決してオ ーディションをして人材を掻き集めた合唱団ではありません。創設メンバー20人中16 人までもが転勤等で団から離れることを余儀なくされたにも関わらず、しぶとく生き残り、 先日のような演奏会を開催できたこと自体には自分自身も含めたメンバー全体のがんばり や周囲からの支援、声援の大きさを感じるものです。

しかし、それにしても我々はなんの為に歌うのでしょうか?
最近よくそんなことを感じます。そして、ふと言葉では言い表し難いほどの大きな不安と 孤独感にかられることがあります。歌いたいから歌う・・・歌いたいように歌う・・・はたまた、 高邁な理念を論じることも出来そうです。
でも本当は結論なんかどうでも良いのです。
「何故歌うのか?」「何を歌うのか?」「誰に対して歌うのか?」という気持ちを持つこ とがとても大切だと思いました。前に立つことはときにとんでもなく辛いです。ときにぼ ろぼろに傷を作ることになります。金賞などとってしまうとなおさらです。練習中は何度 も何度も投げ出したくもなります。しかしながら、それでも一生懸命やっているのは、恐 らくたくさんのことを「学べる」気がするからなのでしょう。「誰と一緒に、誰に向けて どんな歌を何故歌うのか?」・・・結論があろうとなかろうと、常に自分の胸に問いかけなが ら活動を続けていかなくては、と思いました。

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