謝謝 台北メールクワイヤー
2009.10.23
『人生有情』という映画監督のホウシャオシェンの言葉を思わすような笑顔と温かい雰囲気に満ちた演奏会となりました。旅程を通して出会った人たちが皆、他人を思う気持ちに満ち溢れており、胸を打たれる「なにわコラリアーズ台湾演奏旅行」となったのです。台北メールクワイヤーの皆さんには本当にお世話になりましたし、心の底から感謝の気持ちでいっぱいです。
記念撮影1
台北メールクワイヤーとの出会いは2003年の宝塚国際室内合唱コンクールに遡ります。20周年記念ということで、初日にカテゴリー別のコンクールが開催されるだ けでなく、それぞれの上位団体(6団体?)は、二日目に進み、そこで20分という拡大された枠組みの中で他カテゴリーを含んだ選曲をしながらグランプリを決定するという本格的な国際コンクールの手法に則った方式での開催でした。やや和音を崩しながらもホールを鳴らしたことで?辛うじて翌日に進んだ「なにわコラリアーズ」は 、ジャンルを越え時間が拡大されたグランプリ大会のほうで、多彩なレパートリーによるのびのびとした演奏を披露し、数多くの海外団体を破って逆転グランプリを獲得することが出来ました。その時の2位が本当に美しいハーモニーを響かせた台北メールクワイヤーだったのでした。(ちなみに3位は最下位で決勝に進んだ「Emsenble Vine」でしたので、私の合唱団は演奏会スタイルに近づいたほうが持ち味が出るとい うことかとも思われます)
印象的だったのは結果のことではなく、むしろコンクールが終わりホールからに出たときのことでした。台北メールのメンバーたちが「一緒に歌おう」と言ってくれて、 いくつかのレパートリー交換をしたり、共有レパートリーをともに歌って、ベガホ ール前でささやかな楽しい歌合戦が始まったのです。Vineも入り乱れて友情を育む場となりましたが、台北のメンバーは、2団体指揮することでややストイックに演奏のことばっかり考えていた私の緊張した気持ちを一気にほぐしてくれる笑顔でした。その後、日本に残った台北メールメンバーとVineのメンバーが仲良くなって観光に連れて行ったりということなどもありましたが、彼らの基本スタイルは「音楽を通して友情を育む」…という、言葉にすると当たり前過ぎるようなシンプルなことであり、その純粋な思いを普通に実行されているのに驚かされっぱなしでした。 美しい歌声はもちろんのこと、音楽を通して何が出来るかを考え、音楽を手段にしたさわやかな行動に目が覚める思いがしたものです。
国立音楽院さて、台北メールイヤーは優秀団体として国家からの支援を受けていることもあり、 世界中のコンクールに挑戦していますが、賞を獲ることよりも世界中に友情が広がっていくことを真剣にあるいは純粋に考えているようです。今回の「なにわコラリ アーズ」の台湾公演は彼らの「とても仲の良い世界の合唱団の仲間を台湾に呼ぶシリーズの第5弾」に該当するものであり、日本の団体としては2年前のヴォーカル アンサンブルESTに続いて二度目ということにもなります。空港への迎えに始ま り、バスでの移動、観光地への案内、練習場の手配、おいしい夕食の手配、夜市案内、演奏会の集客から段取りの隅々にいたるまで、それから印象深いお土産(なんと一人一人の名前を彫った印鑑)、…本当に完璧なホスピタリティーでもって心から歓迎してもらい、生涯の思い出に残る演奏旅行となりました。stamp なんとお礼を言って良いのか分からないほど楽しい素晴らしい台湾演奏旅行になったのでした。歌が国境を越えること、歌が多くの人々の笑顔を作る源になること、 歌が多くの人々の永遠の友情を育むこと、そして、我々が歌を歌うのには大きな意味も大きな価値もあるということ…、いろいろなことを教えられた3日間の旅とな りました。