煌け!夏空に~子どもたちの歌声
2012.8.11
○アルティ声楽アンサンブル(7月14&15:京都アルティホール)
さて、昨年は左座家の素晴らしいファミリーコーラスを聞かせてもらった アルティ声楽アンサンブルフェスティバルですが、今年もとても素晴らし かったです。松下耕先生は渡欧されておりお休みでしたが、講師には北海 道から陣内直先生をお招きすることができました。2日に渡って関西では なかなか受ける機会のなかったアンサンブルの基礎レッスンを受けました が、そのお人柄とともに、私はアルティホールに響く陣内先生の「ドレミ ファソ」の歌声と音程に驚きました。これまでにドレミファソ…と歌われ ただけで感動したことはありません。これにはびっくりしました。
さて、ゲストについては、今年の「未来への歌声~受け継がれる歌声」と いうテーマのもと、ゲストには「アンジェルス児童合唱団(大分)」「 多治見少年少女合唱団(岐阜)」を招待いたしました。未来そのものとも 言える子供たちの歌声を育てていくことが、大人の責務でもありますし、 子供たちの歌声は私たちに勇気や希望を与えてくれます。この対照的な二 つの合唱団は私たちに音楽の未来を信じさせてくれるようで嬉しかったです。 特にアンジェルスさんは去年の軽井沢合唱フェスティバルからの繋がりも あり、個人的には嬉しい再会でもありました。子どもらしい楽しいステー ジに客席は大笑いでしたけれど、飯倉先生や周囲のスタッフの歌や合唱や 子供たちに対する愛情がぎゅっと詰まっており、「活動の方向にしっかり とした視座のある素晴らしい合唱団」だと思います。
また、ラストには今年も公募合唱団を募ってみました。季節の情感がしっ かり練りこまれた唱歌などは、私たちがしっかりと歌い、歌い継ぎ、子供 たちにも託していかねばならないものもあろうかと思います。公募で取り 上げた「日本の四季めぐり」は若手の作曲家である名田綾子さんによる唱 歌の新しい編曲集ですが、ご本人を招いて、ご本人のピアノ伴奏で演奏し ました。
高校生からベテランズまで、いろんな世代が合唱団を織り成しており、と ても楽しい演奏になりました。
来年の今年のアルティ声楽アンサンブルフェスティバルはいよいよ10周 年。7月13日、14日に開催いたします。講師には松下耕先生をお願い しております。祇園祭前の格好のポジショニングですから、今から宿泊予 約をお願いしますね。
○全日本子どもコーラスフェスティバル(8月4&5:いたみホール)
3年連続で、全日本合唱連盟主宰の子どもコーラスフェスティバルの講師を 務めさせてもらいました。昨年は石黒先生のアカペラ曲にかなりてこずって しまいましたから、今年は北川昇さんの2重唱「いつかの木から」選ばせ てもらいました。
「いつかの木から」は私が、女声合唱団エントアールで初演させてもらった 素敵な7つの女声合唱組曲です。最初の6曲が季節を巡り(3月、5月、7 月、9月、11月、1月のイメージで季節を巡る)、最後の長い一曲で人生 を振り返るような構成の作品となっており、音域や難易度も含めてややベテ ラン?の女声合唱団にはぴったりの組曲であると思っています。
しかし、前半の6曲の中にはそのまま児童が歌ってもぴったりの曲があり (なぜなら最初は子ども用の歌曲として作られた曲が含まれているから)、 今回は「春」「夏」「秋」「冬」という季節の歌をピックアップして演奏 させてもらいました。
特別に、ウィンドウチャイムや波の音、スレイベルも入れて、雰囲気を作っ てみたところ楽しく練習でき、子どもたちにもぴったりの曲として紹介出来 たと思います。3年目でしたので、時間配分とか子どもたちの反応にも少し 慣れて来た部分もあるでしょうか。
その後単独の演奏を聞かせてもらいました。
どこの団にも個性があり、それらは決して優劣をつけるものではないのでコ ンクールでなくて本当に良かったと思いましたが「ゆりがおか少年少女合唱団」 はかつての指導者の急死を乗り越え、新しい若い先生のもと新しい息吹を感じ させる音楽の方向を持っていると思いました。指揮者のバトンテクニックが子 どもの音楽をどのようにでも左右するということも実感でき、わが身を引き締 めた次第でもありました。
私の持論は、「男声合唱は大声を出したらみんなが喜んでくれる」「児童合唱 は出てきただけでみんなが笑顔になる」というもので、どのような状態であれ 子どもが歌っている姿は平和で尊いものだと思います。それを守っていくのが 私たちの務めですし、私たちは南相馬の児童合唱団を全力で応援していかねば ならないと思います。
他方で、小学校のクラスと同じく、指導者によっては閉鎖的な方向性になりが ちなのが児童合唱団の世界でもあります。指導者は興味と責務を持ってアンテ ナを張り、学んだことの全てを真剣に子どもたちに伝えて行く必要があるで しょう。
また合唱連盟のような事務母体にもっと必要なのは、子どもの笑顔だけで満足 するような楽観主義でもなく、また逆に運営効率のようなものでもなく、音楽 に対する視座、児童合唱に対する理解、子どもの目線、導くという観点からの 大人の哲学、ではないかと思いました。子ども委員に選んで頂きましたので、 そのあたりのことをしっかりと意見、議論、相談していきたいと思っています。
「はるるる」
1.
はっとしたよ
とびらをあけると はるだから
はがしげり はながさくはる
はねをのばして はばたいていくはる
かけだし ふみしめ
はだかになりたいはるだから
きもちふくらむはるだから
るるる はる るるるる
2.
どきどきしたよ
あの子とあったら はるだから
はずかしいけど はなしたくなるはる
はだしになり はしりたくなるはる
いきをすい せのびして
ひととあいたいはるだから
はにかみほほえむはるだから
るるる はる るるるる
「夏のうみ」
海を越える蝶をみたよ
あの夏の日の浜で
ぼくは 飛び上がったのさ
蝶を捕まえるために
潮吹くクジラをみたよ
あの夏の日の海で
ぼくは 泳いだのさ
クジラに追いつくために
虹色の巻貝を見たよ
あの夏の日の岩場で
ぼくは 歌を歌ったのさ
巻貝と語り合うために
思い出は夢の先につながっているようだ
そしてそれは
いつか僕が僕と再会するのを
じっと見守っているようなんだ
「楓の葉」
てのひらの形をして
色づき舞い落ちる
楓の葉
あなたの手
わたしの手
たくさんの子供たちの手のように
秋に別れを告げ
風に別れを告げ
静かに微笑み浮かべ
競うように優雅に舞い落ちる
やがて
降り積もった雪の下で
温かい土に眠るのだ
また春にあいましょう
「雪の思い出」
ふんわりしずかに降る雪に
お母さんを思い出す
庭に駆け出す僕の手に
手袋をはめてくれたっけ
ぎっしり積もった雪の日に
お父さんを思い出す
長靴はいた雪道で
大きな足跡追いかけた