<閑話休題> ~大学会館から寒梅館へ、そして町家へ

2007-5 2007.10.12

大学とは、様々な意味で「出会いの場」ではないかと思っています。
私が大学に残り、後輩のために様々な出会いの場所を提供する仕事に従事したいと思ったのは、自分自身が大学時代の「人や世界との出会いの大切さ」を身に染みて感じているからでもあると思います。
もちろん、大学にもいろいろな業務があり、私がようやく望んだクラブ・ サークルや学生の課外活動を中心にしたセクション(学生生活や学生の人生観や世界観の形成に大きく関わるような業務)に従事出来たのは98年でした。ちょうどその時期は「学生自治から学生支援へ」という、学生と大学の考え方の刷り合わせ期間だったようで、当時閑散として静かに朽ちていくのを待っているようにも見えた「大学会館」を目にしたときには、 「これを使って何とか学生に関わりたい」と思ったものです。
手っ取り早く映画をセレクトし、チラシを手作りし、自らキャンパスで手配りしながら始めたWOT(最初の課外プログラム)でしたが、当時、上手いタイミングで北野映画のブームもあり、WOTは一時期1000人もの来客があるという人気プログラムとなりました。このことから大学が学生のために出来る「切っ掛け作り」のようなものを模索し始めたのだと思います。

大学会館が建て変わり、「寒梅館」での様々な取り組みはこのイマイチに紹介されている通りですね。寒梅館オープニングの大江健三郎氏をはじめ として、様々な方に来てもらいました。また講演や映画に限らず、コンサ ートに落語に狂言、人形劇、アニメ作り、フラワーアレンジメント、テーブルマナー講習からクリスマスリース作りまで、ありとあらゆる企画をしてきましたが、企画もそれぞれに定着し、「ハーディエンス(ハーディ友の会)」 を含めて地域の人にも愛されて来ております。中でも今夏に行なった「コールフリューゲル」「一般学生」「地域の大人と子ども」が一体となった「合唱劇:どんぐりと山猫」は、学生と市民、クラブ・サークルと大学とが渾然一体となり、取り組みを通して真の交流が出来た成功例として他大学の参考にもなっています。

私たちは大学生にサービスを与えるのではなく、様々な意味での出会いの場を提供したいと考えています。その後、今度は学生たちが工夫しながら自分たちでメッセージを発信していくこと、そして、学生の活動が地域の人から応援されることを理想としています。そのために裏方として出来ることや仕掛けられることを考えたいと思っています。

・・・さて、このたび、新たな試みとして大学が町に出て行くことになりました。 隣のページに書いたような町家での新しい試みがどのような芽を出し、どのような花になるのか、楽しみです。皆さんもぜひ町家をのぞいてみてくださいね。思いもよらない様々な出会いに繋がる扉が開かれると思います。

学生と地域を取り結ぶ冊子(IMAICHI)コラムより