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大学男声合唱団の現状と展望・・・(4/5)

■活性化手段について
・・・かつては大学生とは大人に対するアンチテーゼを掲げ、大人に反抗 的な態度を取るものであったと思います。しかし現在は基本的にはそう ではありません。私のかつての職場が大学生の厚生補導を目的とした 「学生部」から、学生に手を差し伸べ、背中を押してやることを目的 とした「学生支援センター」に変わったということは象徴的だと思う のですが、大学生とは一人前の状態であるという認識を変え、大学生 とは大学の中で様々なことを学び一人前になるための未成熟の期間で あると仮定し、上手く導いてやることそのものが必要だと考えます。 ですから、大学合唱団への方策としては、一つには私は「指導者の学 生への積極的関与」が有効なのかもしれないと思っています。もちろん 高校生と同じでは意味がありませんが、大学になったら放っておいても 大丈夫ということではなく、スキル獲得のために大人が関与していくこ とは大事なのではないでしょうか?大人である私たちは、まるで成人 年齢(社会的)を引き上げるような社会システムを構築してきた張本人 なのですから、もう少し長く教育的関与をしていく必要があるというこ とです。

また例えば、仕掛け作りも重要なのではないかと考えています。私は現 行の合唱連盟のコンクール形式に対しては絶対に改革が必要であるとい う考えを持ち、「カテゴリー別開催」「隔年開催」「国際化」という提 案をしている者ですが、大学生についてはむしろ、「楽しい競い合いを 助長させてはどうか」という気持ちを持っております。コンクールに対 するこだわりがある訳ではありませんが、個性という逃げ道や自己完結 (自己満足)に陥りがちな学生を、「社会性」の中に引っ張り出すこと によって(もちろん無意味な順位争いや欠点指摘に留まるのでなく、審 査員からの言葉による評価、応援メッセージ、もしくは「賞金」という モチベーション、団を超えた交流やシェアリング、を含むスタイルを確 立することが重要)、彼らの活動の指針を分かりやすくさせる気がいた します。

もちろんこれらのことが全てを一気に解決するとは思えず、明確な処方 箋があったら私も悩みは少ないのですが、状況や学生との関係性や周囲 の協力という問題もあり、大学合唱団を再興させていくことには大きな 手間がかかると思います。ただ、盛り上がった合宿の件でも異世代集ま るフェスティバルの経験でも明らかなように、現在の大学生はむしろ集 団活動に飢えてもいます。きっと達成感も欲しがっています。異世代 との関わりも潜在的には持ちたがっています。ですから、「現在はパー ソナルな時代であって、合唱ははやらない」ということで片付けるので はなく、合唱界としては、現状を現状たらしめている原因を分析し、大 学合唱の導き方や仕掛けに工夫を積み重ね、努力をしていくべきもので はないのかと思うのです。

続く・・・

          
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