楽しかったプラバ&ブルーベリー
2008.12.10
この3年ほど、松江の地と合唱団の音色とに魅力を感じ、季節ごとにレッスンに 行っていた松江のプラバ少年少女合唱団&ピュアブルーベリーですが、今回は初 めてプラバホールでの演奏会(11月29日、30日の連続公演)で指揮をさせ てもらいました。
最近、松江においては雨男に戻ったようで(→翌週の信州は快晴であった)、二日 ともどんよりした天気でしたが、それはそれで松江らしい湿度と風情に満ちており ました。委嘱した北川昇さんの新曲「きょうはきょうきょう」は、島根県で採譜し た「わらべうた」や「遊び歌」をモチーフとしてアレンジ、構成された大変素敵な 合唱曲(エチュード的要素もあり)に仕上がっており、子どもたちも本当に頑張っ て歌ってくれました。急に調子が悪くなったり、極度に緊張したり、またほぐれた り、急に元気になったり、はしゃいだりする子どもたちの様子がとっても自然で 素直に思え、中二生にお腹を触られながらも、楽しく微笑ましい3日間を過ごすこ とが出来ました。
まさにコンクールの出場過程でけっこうボロボロになっていった心身を癒し、 再び気力が湧いてくる3日間だとも言えました。
しかしながら、今回の演奏会では、何といってもプラバ少年少女合唱団を取り 巻く強力で大掛かりな?スタッフ陣や親御さん、支援者等の総合力を感じるこ とが出来ました。いろんな人の頑張りで演奏会が成立し、楽しいものに仕上が っていく雰囲気が「手作り感たっぷり」で、とても感動的でもありました。
日曜朝には開店と同時に行きつけの?珈琲館に出向いて、久しぶりに宍道湖を 眺めながらぼんやりする時間も持てました。やっぱりこの地には、都会の喧騒 にはない「音楽と向きあう時間」「人生と向き合う時間」が流れているように も思います。子どもたちの笑顔や楽しい言動にも囲まれ、「ほっとひと息」と いう時間が過ごせたとも思います。
さて、次週は信州遠征です。今度は大学生たちとの真剣な場面。必死で頑張って、 夜にはおいしい信濃錦(真澄でも良い)が飲みたいものです。
P.s
当日ロビーで販売していたのは、何と2日間限定販売の「きょうはきょうきょう どら焼き」なのでした。飛ぶように売れて終演前に完売でした。たいていの企画 には驚かなくなった私ですが、この大胆で微笑ましい思い付きにはびっくり!
dorayaki
松江、宍道湖、新しい仲間
夕暮れの出雲空港に降り立ち、松江までの道中に眺めた宍道湖は、 穏やかさと艶かしさとを同等に溶かし込んだ美しくも不思議な印象を私に与えてく れました。悠久の時間を堆積させている湖が生活の場に近いということもその存在 を大きく感じる理由でしょうか・・・、以後、松江に惹きつけられ、季節ごとに訪 問し、刻一刻と表情を変える宍道湖を眺めることが私の楽しみの時間になっていき ました。
音楽との出会いは人との出会いであり、その人を育んだ文化や環境との出会いでも あるように思います。つまり、私にとってこの合唱団との出会いは、団員やスタッフ 一人一人との出会いであり、この土地の育んだ時間や、空気の湿り気、風情と品性 ある文化の香り、(地元への愛着と遠方への憧れの視線を含めて醸し出している) 土地の雰囲気そのものとの出会いでもありました。そして、そこに何か強烈に心惹か れるものを感じたこと、それが巡り巡って今日のステージに繋がっていることは私に とっては大きな喜び以外の何ものでもありません。この記念すべき演奏会には、私が いま最も信頼し期待する関西の友、作曲家の北川昇さんに新曲をお願いしました。 相談しリクエストしながら、合唱団の目標に相応しいものを作っていただく過程は、 まるで個性や好みにあった世界に一つだけの服をあつらえてもらっているような温かさ と幸せを感じる時間でした。出会いの連鎖から生まれた新しい曲を新しい仲間ととも にここで発表出来ることを楽しみにしています
日頃こんなことを考えています。
「音楽」とは、生命を与えられていることのありがたみを実感させられる力、喜び、 励まし・・・、「仲間」とは、かけがえのない宝、生きている目的を支えるもの、 伝えたいという意志を生み出す力・・・、演奏や活動の「未熟さ、稚拙さ、無謀さ」 は、いつかはこうなりたい、という夢を育む力、想像力を支える気持ち・・・。
大切な気持ちと思いに満ちた演奏会になりますように。
パンフレットより