「ういろう」初めての演奏会について

2010.2.14

2月14日、合唱団「ういろう」の第一回目の演奏会は、4ステージとも指揮をする雨男の影響が心配されましたが、無事好天の中で終え ることが出来ました。

うぃろうクッキー3年ほど前に名古屋大学コールグランツェの30周年記念の委嘱曲を 指揮させてもらったことが切っ掛けになり、名古屋の若い合唱仲間が 増えました。皆人なつっこく、素直で、前向きで、合唱に対する熱い 姿勢を持っており、私自身も構えず自然体で付き合わせてもらいました。
そんな彼ら(彼女ら)が、大学を卒業しても歌える場が欲しい、大学合 唱団の枠を超えていろんな人と一緒に音楽に取り組みたい、と作った のが「合唱団うぃろう」です。その後、ジェネレーションや出身の異 なるメンバーも増え、望んだ通り一般合唱団としての必要な要素も整 ってきました。昨年の合唱祭での微笑ましいデビュー、京都の「アル ティ声楽アンサンブルフェスティバル」での熱唱を経て、第一回演奏 会ということになったのでした。
「かなうた」「世界の愛の歌」「ラプソディーインチカマツ」「日本 の愛の歌」と続くプログラムは、バレンタインデーにちなんで「愛」 を練りこみ、てんこ盛りにしたようなプログラムだったのでちょっと 心配していたのですが、メンバーの底力が発揮され、みんな全ステー ジで熱唱してくれました。チームワークも良く一生懸命真面目に取り 組んでくれたので、私としては上手い下手という次元ではなく、合唱 の楽しさや合唱として取り組みたいこと(課題)に的確に取り組めた 充実感のようなものがあり、頑張ってくれたメンバーのことを大変嬉 しく思いました。

作曲家の松波先生からは、新しい合唱団の立ち上げを祝福していただ けるかのように曲をプレゼントしてもらいました。松波先生は、昨年 「真夏のオール新作コンサート」で知り合い、松江のプラバの演奏会 でも力を貸してもらいましたが、私自身がそのお人柄と作風を大変気 に入っており、きっとこのような曲が増えると合唱界も変わっていく のではないかと思っている作曲家の一人です。曲はボブチルコットを 髣髴とさせ、細かい配慮のある歌いやすい曲で、団員も好きになり、 一週間前に出来上がったにも関わらず!みんな暗譜で歌ってくれてい ました。客席からもとても好評でした。松波さんは幼い頃からNHK の児童合唱団で歌っておられ、歌が大好きな方だと思います。北川氏 にしても信長さんにしてもそうなのですが、「歌っていた人」はやは り「歌いたくなるような曲を書いてくれるなあ」と思ったりもしました。

似顔絵クッキー最終ステージは、武満の「島へ(ピアノ伴奏バージョン)」→三善晃 「空」→松下耕「あい」→千原英喜「手まり」という流れの後で、松 波さんの「どこまでいけば」という新曲が入り、ラストは信長貴富 「夕焼け」、アンコールは「北川昇/みなづきみのり」コンビによる 「ここから始まる」で締めくくらせてもらいました。自画自賛(笑) ですが、リハで確認していくうちに何だか素晴らしい流れであること に自分で感動してしまいました。名曲ぞろいですが、いずれも合唱曲 というよりも「歌」としての表情を持っており、言葉が旋律によって 響き合っていく中で、いくつもの「愛」の表情があぶりだされていく ような感じでした。中でも「空」「あい」はともに谷川俊太郎の詩な のですが、三善晃の美しくポップな旋律の中に、愛の悲しさ、怖さ、 寂しさ、不安のようなものが見え隠れしたあと、松下耕さんの曲で、 しっとりと温かく、励まし、信じ、一生懸命生きる…、というメッセ ージに変わっていく様子を連続して歌うことになり、詩人や音楽家、 演奏者、客席が対話しているかのようなファンタジックな恍惚感に 包まれたりしたのでした。演奏していて本当に楽しい演奏会でした。

「ういろう」は4月以後に中心メンバーが社会に出ます(一部名古 屋を離れる)ので、いきなり正念場を迎えるわけですが、演奏会を 聞いてくれた人の中からも新しいメンバーが増え、力強く継続して いってくれることを願いたいと思います。また、合唱に対しては常 にチャレンジ精神をもって大らかに楽しみ味わっていける団体であ りたいと思います。新規メンバー常に募集中ですので、ぜひ名古屋 近辺の方はどうぞご連絡ください。(歌の好きな松波先生は名誉団 員ということで…)

祝うぃろう
P.S
客席には、大学時代に私が大変お世話になった先輩(恩人)のKさ んの姿が見えており、私としては常に気になりながら演奏会を進め ていたのですが、どの場面でもにこにことしていただいており、励 みになりました。この先輩のおかげで合唱の素晴らしさと奥深さを 知り、続けていくことが出来たようなものなので、このような拙く も楽しそうにやっている私の姿を見てもらえたことが大変嬉しかったです。