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大学男声合唱団の現状と展望・・・(5/5)
■男声合唱について 長時間練習で培ってきた深い目の発声的(グリー声というか)なものに ついても、曲やスタイルに合わせて、持ち声を生かしてやや効率的に獲 得出来るものにしていく必要もあるのかもしれません。大学合唱団の定 期演奏会にOBが賛助出演しているケースが良く見られます。もちろん良 い手だと思います。大きな集客の中で、成功体験をさせていくことは男 声に関わらず重要なことだと思います。また逆に、あえて一部分につい ては迎合せずに「熱さ」や男声合唱特有の伝承事項をしっかりと受け渡 していくことも重要なのかもしれませんし、何より大人の男声合唱団が 大学合唱団の憧れの目標にならなくてはならないのではないかとも思って もおります。…要するに特効薬というものはないけれど、いくつかの指針 に沿った複合支援によって上手く誘導してやることで存続させていくこと が必要ということでしょう。技術顧問という立場を有する私としては、特 効薬を探すのではなく「良いものと出会わせて、それを目標に学生に頑張 ったことの達成感を味わってもらう」段取りを作り、「頑張る学生を大 人が応援する」というシンプルな構造を構築するための努力を重ねたい と思っているところなのです。 最後に、余計なお世話ながらやや個人的観点を持ち出しましょう。私は 大学においてはボランティアやインターンシップやクラブ活動への注力 時間を得るために「大学五年生論」を掲げたことがありますが、同様に 無責任に社会システムに言及させていただけるとするならば、男性を取 り巻く社会的課題について、我々はもっと発想を変えていくべきではな いかと思うのです。近年平均年齢の高い男声合唱の頑張りは目を見張る ものがあります。しかしながら、日本人の20代30代40代の男声は 果たして歌を歌っているでしょうか?とてもそれどころではない状態の 空白期間を過ごしながら、定年後を見越して50代から復帰してくると いうことになっていないでしょうか?
大学男声合唱団の復権ということ以上に、社会構造を一気に乗り越えてい
くべき発想が必要なのではないでしょうか。社会人になったらとても時間
がないから大学のうちに頑張っておけ・・・という発想はさることながら、現
在の日本社会に大人の男性からの文化発信の場は見られるでしょうか? 2008年Jamca通信より
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