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同志社グリークラブのマレーシア演 奏旅行に同行

16−02 2016.7.27

考えてみれば体調万全で海外に行った記憶がなく、これは計画となんらかの因果関係 があるに違いないのですが(推測…海外に行くために直近に業務を詰めて無理をして いるとか…英語が得意でないのに人前に出ることがあるから心配が増幅とか…)2月 のマレーシア行きも例外ではなく、経費削減のためにシンガポール経由(深夜のト ランジットで2時間待ちとか)が選択されていたこともあって、クアラルンプールには 本当にぐったりとした状態で到着していました。でも海外では「戸惑いのあとに徐々に 慣れる…」という当たり前のルートを辿るようです。ぐったりしてソウルに降りたった 2年前の世界合唱シンポジウムも、毎食キムチを食べているうちに代謝が良くなり絶好 調に近い コンディションになっていました。マレーシアでも「ザ・南国」というブル ースカイや美しい風景を見て、辛い食事を食べたあとから血流の状態が良くなってきた と考えられ、2日目にはピンピンしていたのでした。
さて、現地人と化している有力なOBの先輩がおられることもあり、今回の同志社グリー クラブのマレーシア演奏旅行は彼らにとって非常に贅沢で有意義な機会になったように 思います。私は業務の都合もあって、彼らより遅れて到着し、イスカンダリア王宮とペ ナンのみ指揮をし、先に帰国していますが、特にイスカンダリアの王宮では国王(実際 には州王のような立場か…マレーシアでは州王が数年ごとに輪番のような形で国家の王 になる)の前で御前演奏をすることになり、その経験は一生の財産にもなったでしょう。
本番の通りにリハーサルを分刻みでチェックされたり、王様にお尻を向けないように斜 めから指揮をしたり、宗教曲を選曲出来ず全てフォークロアやポップス系の選曲になった り、文化や風習からいくつかの制約もありましたが、大きな拍手で迎えられ、晩餐会で は女王と握手もし…私もいろいろと経験させてもらいました。

マレーシアそのものは宗教が混ざり合っていることも理 由かもしれませんが、合唱その もののジャンルはそれほどポピュラーではないようです。東南アジアの中でも現在合唱 王国と言えるフィリピン やインドネシアのようにたくさんの合唱団がアクティブに活動 しているわけではなく、卒業生が去り学年進行があってまだ未熟過ぎる同志社グリーの 演奏も少しは喜んで聞いてもらえたのは助かりました。OBの諸江さんはじめ、尽力して いただいた関係者には感謝です。少しの観光もし、海鼠石鹸を御土産にまたシンガポール 経由でとんぼ帰りしてきました。

しかし、何をおいても若者が海外に行くことは大変素晴らしいことですね。私自身も自分 の価値観を変えたのは大学三年生の時に学生指揮者として出かけたヨーロッパ演奏旅行 (1ヶ月)でした。観光とかならいつでも行けるわけですが、合唱団で行くことは、歌声 や音楽そのもののが、国境を越えた社会に対しても普遍的に価値を持つものであることを 確認すると同時に、自国の文化や他国の文化に思いを馳せることにも繋がります。
世界は広く、音楽は深い…、自分一人ではまだ小さいが、音楽を通して出来ることは果て しなく大きくなり得る…そのような気付きに繋がってくれれば良いなあと思います。

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