2006年を振り返り

2006年という年が私にとってどのような年であったかということを考えてみると、本当に いろんなことが盛りだくさんにあり過ぎた年だったように思います。

私は男兄弟の次男ですが、幼い頃から父親と行動を共にすることが多く、将来は「聾学校の先生になりたい」と自分で言っていたり、家族からは父親と(悪いところを中心に)本当にそっくりだと言われ続けていましたが、その父親が闘病の末に亡くなったことは非常に大きなことであったと思います。いつかこの日が来ることを覚悟していたとは言え、どちらかというと死そのものよりも、40歳の時に生まれた子である私が父と40年近くを生き、もうすぐ40歳を目前にしているということを考えると、これからの自分も含めて自分の人生を俯瞰したような気持ちになりました。また「人生には死が訪れる、ならば生きているうちに何をしたいか、 何を為すべきか・・・」ということと向き合う機会が多かったことも事実です。

合唱指揮の立場からも、これほどたくさんの本番+練習があった年はこれまでもこれからもないと思われます。委嘱初演を同時に数本も実現したり、遠方への客演指揮、審査員、講習会…と、 たぶん年間500コマくらいの練習はしたのではないかと思います。人間、いったん忙しさのサイクルに入ると、ハイ状態になって「がむしゃらに突進してしまう傾向」があるように思い ます。勢いでついでに違う仕事も引き受けてしまったりして雪だるまのようになってしまっておりました。やれるときにはやれるだけのことをやって後から落ち着いて検証していこう・・・ というような感覚であったのかもしれませんが、様々なことが節目となる来年以降について は、社会との距離感や舵取りの方向性を中心に落ち着いて考えてみたいと思います。しかしな がら、今年のがむしゃらな活動の中で、その折々に出会った人から得た温かい厚情こそは何に も変えがたい財産になっていることは間違いありません。皆様に感謝です。

ドイツでワールドカップがあってくれたおかげで、寝不足にはなりましたが、深夜に試合を見ることが出来ました。(日本であったときには、練習時間帯でしたから、ほとんど試合を見ないまま終わってしまいましたから)しかしながら、ブラジルの敗退と、オランダの敗退は残念なことでした。アイルランドにいたっては出場すらしておらず、決勝の2チームについてはあまり魅力を感じておりませんでしたのでちょっと残念でした。

今年もいろんなことをしました。「ほーむめいどあさひ(京都)」に本業で写真入りで載り、KBSラジオにも本業で登場し、NHKラジオには「旬の人?(合唱指揮者)」として紹介されて出演して来ました。子供の合唱団を立ち上げては小学校の音楽の時間に授業をしに行き、大学生と子供のジョイントプログラムを作り、年末にはいい加減な映画解説者として大学のプログラムでしゃべっている状態ですので、何をやっているやら分かりません。しかしな がら、学生合唱団の指導が本業にフィードバックされるのと同じで、本当はそこに有機的な連関と渾然としたエネルギーが宿っているのだと自分では言い聞かせています。

松江で出会った素晴らしい音楽と人々、久留米のまっすぐな高校生たち、熊本で頂いた暖かい気持ち、信州の素晴らしい学生たち・・・、いろんな出会いが私の時間を彩ってくれたと思っております。

来年はどんな年になるのでしょうか?
良かったと思える年になるでしょうか?
良かったと思える人を増やせる年になるでしょうか?
どんな状況でも一生懸命がんばれる一年にしなければなりません。
来年も「音楽が人を励ますものだと思い合える一年」になりますように・・・。