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演奏の場面で・・・コーラスめっせ

 コーラスめっせ パンフレットより 
青ライン 2010年4月(第1回) 青ライン

コーラスめっせ2010に寄せる

21世紀も早や10年が過ぎ、私たちや私たちの合唱を取り巻く 環境は大きく変化しようとしています。
関西は、「現在の合唱界」を形成した源流とも言え、以前から 「合唱のメッカ」としての側面も持っております。しかし近年、 人口や企業組織の東京圏集中の流れの中で、社会全体や音楽文化 を取り巻く環境、情報発信もますます「東京偏重傾向」が強まっ てきているように思います。
そこで、関西を代表する大都市である大阪から、豊かな21世紀 型の合唱文化の発信を目指してみようと考えました。
音楽や合唱に関する旧来の価値観やスキルだけでなく、多様な世 界観を学んでいくこと、順位付けや競い合いだけで閉塞感を感じ ることなく、また内輪での満足感や大騒ぎに終わらせることなく、 歌い、聴き、刺激し合い、社会との繋がりや連携を意識し、学び、 かつ深刻になりすぎず笑顔で分かち合うことの出来るイベントを 開催することが出来ないかと考えました。また、何とかより多く の人に合唱の魅力を多面的に味わってもらいたいとも思います。 さらには、「集まって歌うことの意義や価値」、「合唱に何が出 来るのか」という可能性についても考え、「合唱」の社会的・文 化的存在としての価値を鍛えなおしてみたいとも思っております。 何とか大阪を中心とする関西から合唱界に新しい風を送り込んで みたいのです。
幸いなことに、私の呼びかけに反応していただけた合唱仲間と共 に、関西で活躍中の合唱団に声をかけ、本年このようなイベント を開催することが出来ました。2日間の中では、演奏会あり、講 習会あり、参加型のワークショップもあります。新作だけを集め たコーナーや、聞き手と歌い手が混ざり作曲家や指導者と交流出 来る場を予定しています。21世紀型の合唱文化を大阪から発信し リードしていこうという意図を詰め込んでおります。
もちろん、第1回目ゆえ、何もかも手作りの状態でまだまだ試行 錯誤を繰り返し、内容面でも運営面でも目標に向けてスタートラ インについたに過ぎません。しかしながら、今後継続開催してい くことによって、将来的には全国からはもとより、世界から合唱 団が集まってくるような大きなイベントを目指したいと思います。 企業や地域社会、学校や行政、他のジャンルも巻き込みながら、 合唱が小さく完結してしまわないようにとも思います。この有志 での取り組みが、やがて大勢の人たちの手による取り組みとなり、 合唱界の21世紀に相応しい何かに発展していいければと願って います。


青ライン 2011年4月(第2回) 青ライン

コーラスめっせ2011開催にあたり

3月11日に発生した東日本大震災は未曾有の甚大な被害をもた らしました。とりわけ太平洋沿岸部の津波による壊滅的な状況を 見るにつけ、胸が締め付けられるような痛みを覚えます。亡くな られた尊い命の冥福を祈るとともに、大切なものや生活基盤を失 われた方々に一刻も早く落ち着いた日々が戻ることを願います。 関西の地でもかつて大きな震災に見舞われましたが、この地から も痛みを共有するだけでなく、一体となって被災地復興に向けた 協力をしていきたいと考えています。

さて、この時期の演奏会開催となりますが、歌声は人々の心を癒し、 励まし、勇気付ける力を持っています。演奏することによって、 私たちは生命の恩恵に感謝し、願い祈る気持ちを強く持つことが 出来ます。仲間と歌い、仲間の歌を聴き、仲間のために歌うことに よって私たちは連帯と想像力とを取り戻すことが出来ます。このフ ェスティバルが、「歌そのものの存在意義」の確認に繋がること、 「歌に出来ること」への気付きに繋がることを願っています。東北 地方は特に若い人たちの合唱が盛んな地でもありますが、一日も早 く被災された地域に若々しい歌声が戻ることを願いながら、「愛と 感謝」「強い意志とメッセージ」に満ちた集いの場にしていきたい と思っています。


コーラスめっせ2011に寄せる

いま、「合唱に何が出来るのか」ということが問われているとも思います。 昨年の春に志だけを持ち、仲間に声をかけスタートした「コーラスめっせ」 ですが、幸いにして今年は「いずみホール」に場所を移し、連続開催する ことが出来ました。ここでは、21世紀の合唱シーンに相応しく、音楽や合 唱に関する旧来の価値観やスキルだけでなく、多様な考え方や世界観にも 心を開いていきたいと思っています。順位付けや競い合いだけで閉塞感を 感じることなく、歌い、聴き、刺激し合い、社会との繋がりや連携を意識し、 学び、かつ笑顔で分かち合うことの出来るイベントにしたいと思ってます。 「集まって歌うことの意義や価値」、「合唱」の社会的・文化的存在とし ての価値を鍛え直しながらその可能性についても考え、関西から合唱界に 新しい風を送り込んでみたいと考えているのです。

幸いなことに今年は昨年にも増して盛りだくさんの内容になりました。 合唱指揮の第一人者藤井宏樹先生をゲストに招聘するとともに、世界的 な作曲家パミントゥアン先生をお呼びすることが出来ました。また、関 西在住の千原英喜先生にはあの名曲「モツレク」を女声合唱(デュエッ トで歌うことの出来る)にアレンジしていただきました。2日間の中で は、演奏会あり、講習会あり、参加型のワークショップもあります。新 作だけを集めたコーナーや、聞き手と歌い手が混ざり、作曲家や指導者と 交流出来る場も用意しています。もちろん、何もかも手作りの状態でま だまだ試行錯誤を繰り返し、内容面でも運営面でも目標に向けてスター トラインについたに過ぎません。しかしながら、今後継続開催していく ことによって、世界から合唱団が集まってくるような大きなイベントを 目指したいと思います。企業や地域社会、学校や行政、他のジャンルも 巻き込みながら、合唱が小さく完結してしまわないようにとも思います。 この有志での取り組みが、やがて大勢の人たちの手による取り組みとな り、合唱界の21世紀に相応しい何かに発展していいければと願ってい ます。

青ライン 2012年4月(第3回) 青ライン

コーラスめっせ2012開催にあたり

あの未曾有の大震災の日から一年が経過しました。私たちは当初、 歌など歌っている場合だろうか、歌に出来ることなどあまりない んじゃないか、と歌の無力感のようなものを感じることの方が多 かったのではないでしょうか。しかし、時間が経過し、次第に歌 に出来ること、歌にこそ出来ることもあると気付き始めたように 思います。
歌声は人々の心を癒し、励まし、勇気付ける力を持っています。 演奏することによって、私たちは生命の恩恵に感謝し、願い祈る 気持ちを強く持つことが出来ます。仲間と歌い、仲間の歌を聴き、 仲間のために歌うことによって、私たちは連帯と想像力とを取り 戻すことが出来ます。考えてみれば、どんな歌も他者に対する思 いの産物です。歌い続けることは、誰かのことを思い続けること でもあるのでしょう。

さて、仲間に声をかけただけでスタートした「コーラスめっせ」 ですが、お陰様で3年目を迎えることができました。今「合唱に 何が出来るのか」ということが改めて問われているとも思います。 ここでは21世紀の合唱シーンに相応しく、旧来の価値観やスキル だけでなく、多様な考え方や世界観にも目を開いていきたいと 思っています。演奏の順位付けや競い合いだけで閉塞感を感じる ことなく、歌い、聴き、刺激し合い、社会との繋がりや連携を意 識し、学び、かつ笑顔で分かち合うことの出来るイベントにした いと思っています。「言葉を歌うことの意味」「集まって歌うこ との意義や価値」…、「合唱」の社会的・文化的存在としての可 能性についても考え、関西から合唱界に新しい風を送り込んでみ たいと考えているのです。
幸いにして、今年は合唱指揮の第一人者清水敬一先生をゲストに 招聘することが出来ました。加えて現在最も注目を浴びる作曲家& ピアニストの松本望さんをお呼びすることが出来ました。この2日 間の中では、演奏会あり、講習会あり、参加型のワークショップも あり、新作だけを集めたコーナーや、聞き手と歌い手が混ざり、作 曲家や指導者と交流出来る場も用意しています。このフェスティバル が、「合唱の存在意義」の確認に繋がること、「合唱に出来ること」 への気付きに繋がることを願っています。

青ライン 2013年4月(第4回) 青ライン

2013年コーラスめっせに寄せる

4年前の春に、仲間に声をかけスタートした「コーラスめっせ」ですが、 幸いにして「大阪ビジネスパーク」に場所を移してからも、規模はどんどん 拡大し参加者も増え、ますます仲間との繋がりの大切さを感じさせてくれる イベントになってきています。また、ここでは、集まって歌うという だけではなく21世紀の合唱シーンに相応しく、少しずつではありますが、 多様な考え方や世界観にも開かれた場所になってきているのではないかと思って おります。

今年は東京から片山みゆき先生をお招きし、旋法やグレゴリオ聖歌について、 それらを踏まえた合唱音楽との向き合い方について学ぶ機会を得ております。 海外からは大人気作曲家のハビエル・ブスト先生をゲストとして招聘すること が出来、自作の講習会をしていただくことをお願いしております。さらに、 フィリピンから2つの実力ある若い合唱団の参加協力も得、夢見ていたことが 徐々に形になりつつあります。

順位付けや競い合いだけで閉塞感を感じることなく、ぜひご来場いただいた皆様と ともに、歌い、聴き、刺激し合い、社会との繋がりや連携を意識し、学び、 かつ笑顔で分かちあうことの出来るイベントに成長させていきたいと思って います。「集まって歌うことの意義や価値」、「合唱」の社会的・文化的存在 としての価値を鍛え直しながらその可能性についても考え、関西から合唱界に 新しい風を送り込みましょう。

もちろん、未だに試行錯誤を繰り返し、内容面でも運営面でも目標に向けて スタートラインについたに過ぎません。しかしながら、今後継続開催していく ことによって、世界から合唱団が集まってくるような大きなイベントを目指し たいと思います。企業や地域社会、学校や行政、他のジャンルも巻き込みながら、 合唱が小さく完結してしまわないようにとも思います。この有志での取り組みが、 やがて大勢の人たちの手による取り組みとなり、合唱界の21世紀に相応しい 何かに発展していければと願っています。

青ライン 2014年4月(第5回) 青ライン

コーラスめっせ2014に寄せて

5年前の春に、仲間に声をかけスタートした「コーラスめっせ」ですが、幸いにして 「いずみホール周辺の大阪ビジネスパーク」に場所を移してからも、規模はどんどん 拡大し参加者も増え、ますます仲間との繋がりの大切さを感じさせてくれるイベント になってきています。

ここでは、集まって歌うというだけではなく21世紀の合唱シーンに相応しく、 少しずつではありますが、多様な考え方や世界観にも開かれた場所になってき ているのではないかと思っております。今年は東京から高嶋みどり先生をお招 きし、指揮や講習をしてもらう他、コーラスめっせ初の委嘱作品「私は空に手 を触れる」を公募合唱団にて演奏する予定もしています。順位付けや競い合い だけで閉塞感を感じることなく、ぜひご来場いただいた皆様とともに歌い、 聴き、刺激し合い、社会との繋がりや連携を意識し、学び、かつ笑顔で分かち あうことの出来るイベントに成長させていきたいと思っています。「集まって歌 うことの意義や価値」、「合唱」の社会的・文化的存在としての価値を鍛え直 しながらその可能性についても考え、関西から合唱界に新しい風を送り込みま しょう。もちろん、未だに試行錯誤を繰り返し、内容面でも運営面でも目標に 向けてスタートラインについたに過ぎません。しかしながら、今後継続開催し ていくことによって、世界から合唱団が集まってくるような大きなイベントを 目指したいと思います。企業や地域社会、学校や行政、他のジャンルも巻き込 みながら、 合唱が小さく完結してしまわないようにとも思います。この有志で の取り組みが、やがて大勢の人たちの手による取り組みとなり、合唱界の21 世紀に相応しい何かに発展していければと願っています。

青ライン 2015年4月(第6回) 青ライン

コーラスめっせ2015に寄せて

6年前の春に、仲間に声をかけスタートした「コーラスめっせ」ですが、幸いに して「いずみホール周辺の大阪ビジネスパーク」に場所を移してからも、規模は どんどん拡大し参加者も増え、ますます仲間との繋がりの大切さを感じさせてく れるイベントに なってきています。ここでは、集まって歌うというだけではなく 21世紀の合唱シーンに相応しく、少しずつではありますが、多様な考え方や 世界観にも開かれた場所になってきているのではないかと思っております。
さて、今年は何とあのシューベルトの名作歌曲集「美しき水車小屋の娘」の日本 語合唱版にチャレンジをいたします。千原英喜先生が混声合唱曲として再創造さ れたものを(全20曲)公募による合唱団で歌ってみるという驚くべき試みです。 ぜひ楽しみにお聞きください。また、フィリピンからは世界的合唱指揮者である Jonathan Velasco氏を招聘しており2つの講 習会を企画している他、ピアノ伴 奏講習会、合唱指揮者講習会等、新しい企画もございます。順位付けや競い合い だけで閉塞感を感じることなく、ぜひご来場いただいた皆様とともに歌い、聴き、 刺激し合い、学び、かつ笑顔で分かちあうことの出来るイベントに成長させてい きたいと思っています。
「集まって歌うことの意義や価値」、「合唱」の社会的・文化的存在としての価 値を鍛え直しながら、その可能性についても考え、関西から合唱界に新しい風を 送り込みましょう。
もちろん、内容面でも運営面でもいまだに試行錯誤を繰り返しているような状態 です。しかしながら、今後継 続開催していくことによって、世界から合唱団が集 まってくるような大きなイベントを目指したいと思っています。企業や地域社会、 学校や行政、 他のジャンルも巻き込みながら、やがて、合唱界の21世紀に相応 しい何かに発展していければと願っています。

青ライン 2016年4月(第7回) 青ライン

コーラスめっせ2016に寄せて

7年前の春に、仲間に声をかけスタートした「コーラスめっせ」ですが、幸いにして「いずみ ホール周辺の大阪ビジネスパーク」に場所を移してからも、規模はどんどん拡大し参加者 も増え、ますます仲間との繋がりの大切さを感じさせてくれるイベントになってきています。 ここでは、集まって歌うというだけではなく21世紀の合唱シーンに相応しく、少しずつでは ありますが、多様な考え方や世界観にも開かれた場所になってきているのではないかと思 っております。
昨年は何とあのシューベルトの名作歌曲集「美しき水車小屋の娘」の日本語合唱版にチャレ ンジをいたしました。 千原英喜先生が混声合唱曲として再創造されたものを(全20曲)公募 による合唱団で歌ってみるという驚くべき試みでしたが、言語を越境させる(ドイツ語から日 本語)ことと、メロディーを共有させる(声楽から合唱へ)ことでより多面的にとらえられたシュ ーベルトを多数の参加者と満員の会場で分かち合うことが出来ました。
打って変わって本年は、「育成」に主眼を置いた取り組みとして「大学合唱企を支援する」企画 を据えています。また、メインゲストには大人気の相澤直人先生をお呼びし、作曲家として指揮 者としての側面から合唱音楽への様々なアプローチ方法をお教えいただく予定です。加えまし てフィリピンからは世界的合唱指揮者であるRonan Ferrer氏 と合唱団Chor Tomasino を招聘しており、講習会と演奏を企画している他、ピアノ伴奏講習会、合唱指揮者講習会等、 新しい企画もございます。順位付けや競い合いだけで閉塞感を感じることなく、ぜひご来場い ただいた皆様とともに歌い、聴き、刺激し合い、学び、かつ笑顔で分かちあうことの出来るイ ベントに成長させていきたいと思っています。
「集まって歌うことの意義や価値」、「合唱」の社会的・文化的存在としての価値と可能性につい ても考え、 関西から合唱界に新しい風を送り込みましょう。

纏めて新歓〜大学生集まれ!〜

かつて合唱の花形は大学合唱にありました。
百年を超す歴史を誇る関西学院グリークラブ、同志社グリークラブを始め、合唱文化は大学カル チャーの中で育まれ発展し、様々な名演奏だけでなく、指揮者や声楽家、あるいは大学合唱の メンバーから派生して多くの一般合唱団を生み出してきたと言っても過言ではありません。80年 代の東西四連(昼夜2回公演)や関西六連は3000人収容のフェスティバルホールを女子大生で ぎっしり埋めていたものです。見渡してみてください、回りには大学合唱団の出身者が多いでしょう。
もちろん、ここにノスタルジーを持ち出すわけでも、それ以外の道と比べてウェイト付けする訳でも ありません。 しかし、昨今の大学を取り巻く環境の変化(授業がびっしり、資格講座や留学の奨励、 女子大学の減少、就職活動の複雑化)は、多くの場合が、授業をさぼって?合唱にのめり込んでい たからこそ発展した(語弊あり)大学合唱文化全開世代からは少しかわいそうに思えるのも事実なのです。
さて、大学合唱の魅力は何でしょう!!
それは、自分たちが主体性を持って取り組むことの出来る合唱活動であるということです。高校合唱 はどれだけ優秀で、どれだけびっくりするような演奏をすることがあっても先生にイニシアチブがある 部分が多く、演奏内容はともかく、合唱団としては 「リスクを抱えて自己決定する活動」には至りませ ん。大学生になると、例えば親元を離れて一人暮らしをする人がいることから始まる自立性の確保、 匿名性の海の中での自己アイデンティティとの格闘、いずれ社会システムの中で自活していかねば ならない将来への漠たる不安と希望が渦巻きます。その中での「スキルを獲得しながら仲間とともに チームを作り音楽表現を模索する」合唱活動がいかに人生に深く関わり、多くの可能性を持っている ことでしょうか。
私はOBとして大学合唱の復権という言葉を使いたいわけでもありません。新しい時代、つまり現代の 大学合唱の環境の中で、大学生たちが誇りと積極性を持ち、体力と知性と感性とを総動員しながら自 らの合唱文化を築いていけるようにサポート支援、問題提起、アドバイスをしたいのです。

逆に、大学生たち、徒に保守的になりがちな活動から脱却し、固定観念に縛られずフレキシブルな活動 をしていくためには、「知識」が必要です。インターネットでの情報やユーチューブでの演奏やSNSでの 繋がりなどに頼ってはなりません。本を捲り、先輩を尋ね、先生を探して、 たくさんの学びの中から新 しい自分たちの活動を見出していってください。
たくさんの出会いの中から自らの道が切り開かれていくことを「先輩たち一同で」望んでいます。

相澤先生には、この日集まった大学生のために新曲をいただきました!
「棚引く雲、それは」
高らかに歌ってください!!そして大学合唱を謳歌してください!

P.s
入団を迷っている一年生がいるとしたら、見渡してみてください。何と多くの仲間や先輩に囲まれている ことでしょうか。恐れることなく4年間を大学合唱に全力を注いでくださいね。必ず人生の財産を得られる はずですよ。

青ライン 2017年4月(第8回) 青ライン

コーラスめっせ2017に寄せて

8年前の春に、仲間に声をかけスタートした「コーラスめっせ」ですが、幸いにして「いずみ ホール周辺の大阪ビジネスパーク」に場所を移してからも、参加者も増え、ますます仲間との 繋がりの大切さを感じさせてくれるイベントになってきています。
ここでは、集まって歌うというだけではなく、少しずつではありますが、多様な考え方や世界 観が展開され始めてきているのではないかとも思っております。
昨年は「育成」に主眼を置いた取り組みとして「大学合唱団を支援する」企画を据え500人 を超す大学生を集めることになりました。今年からさらに中高生の育成という面から学校教育 の中でのクラス合唱や、指導者(教員)に向けての練習を企画してみました。合唱人口の裾野 の拡張や、教育現場における合唱の活用、合唱の機能や効用のようなものについても一つの視 座を示していきたいとも思っています。
 また、メインゲストには千原英喜先生と松本望先生をお呼びし、作曲家として指揮者として ピアニストとしての側面から合唱音楽への様々なアプローチ方法をお教えいただく予定です。
順位付けや競い合いだけで閉塞感を感じることなく、ぜひご来場いただいた皆様とともに歌い、 聴き、刺激し合い、学び、かつ笑顔で分かちあうことの出来るイベントに成長させていきたいと 思っています。

「集まって歌うことの意義や価値」、「合唱」の社会的・文化的存在としての価値と可能性につい ても考え、 関西から合唱界に新しい風を送り込みましょう。

青ライン 2018年4月(第9回) 青ライン

コーラスめっせ2018に寄せて

9年前の春に仲間に声をかけスタートした「コーラスめっせ」ですが、幸いにして「いずみホール周辺の大阪ビジネスパーク」に場所を移してからも、参加者も増え、ますます仲間との繋がりの大切さを感じさせてくれるイベントになってきています。ここでは、集まって歌うというだけではなく、少しずつではありますが、多様な考え方や世界観が展開され始めてきているのではないかとも思っております。
さて、今年はあろうことかメイン会場としてきた「いずみホール」が「改修工事中」という事態になってしまいましたが、検討したあげく場所移動はせず、大阪ビジネスパーク内の「円形ホール」を使って演奏会を開催することにいたしました。
ならばということで、「指揮者」「作曲家」「ピアニスト」を講師に据えた講習会に加え、「こえ」「ことば」「からだ」の観点から合唱を見た講習会、さらに合唱活動の周辺に位置する「マネジメント」の講習会等を設定し、演奏や合唱活動について考える機会を作ってみました。合唱人口の裾野の拡張や、合唱の魅力そのものの拡張、教育現場や社会の中での合唱の活用、合唱の機能や効用のようなものについても模索しながら一つの視座を示していければ良いとも思っています。
また、久しぶりに企画した本格的な公募合唱では、名作シアターピースとともに新ジャンルとも言える「合唱物語」(〜ナレーションで物語を進行させ、身体表現の基礎を踏まえた歌い手と簡易な演出を交えた無理のないスタイル)にもチャレンジいたします。
どうぞ一緒に様々な観点からこの「コーラスめっせ全体」をお楽しみください。
関西から合唱界に、ぜひ新しい風を送り込みましょう。

合唱演奏会に新しいジャンルを!〜「合唱物語」について〜

かつて時間をかけて「合唱劇」に取り組んだ楽しさが忘れられず(…林光、萩京子の作品を取り上げ、公募合唱団で連続して演奏していた経験があります…)いつか再び取り組みたい、と思っておりましたところ、2015年に名古屋大学コールグランツェのために高嶋みどり先生に書いていただいた作品が「合唱組曲」という枠組みには収まりきらないスケールとなっていましたので、お世話になった二口大学さん(演出)と広田ゆうみさん(朗読)にお願いして演出付の舞台としてみました。それがまた楽し過ぎる体験になりましたので、以後、私の関係する団体でそのようなスタイルで演奏出来る楽曲を連続して委嘱してきています。
それは私が合唱部より前に演劇部を選択した人間(…小学校時代です)であったというだけでなく、合唱活動や演奏会のスタイルに風穴を開けみたいという気持ちがあったからです。もちろん私は「ともかく動いたほうが良い」と思っているのでは全くありません。むしろ、中途半端な企画ステージには違和感を感じることもあったりしますが、そうではなく、「人前や舞台に立って歌う」とはどういうことか、「伝える」とはどういうことか、「身体で何を感じ身体から何を感じさせる」のか、「歌の源たる言葉を身体と声色でどのように表現する」のか・・・、ということと向き合いたいと思っているのです。
JCDA関西支部で演出家の岩田達宗先生を迎えて行なったシアターピースのワークショップも、実は言語やフレーズを体現するような様々なアクションを試したあげく「最終的には動かないで歌ってみる」、というものでした。言語や音楽に対するイマジネーション、その身体的体験を経た上で、それを音楽表現の中に生かして行くというプロセスを体験したわけですが、そのことも私の現在の取り組みに繋がっているように思います。
私が合唱物語(高嶋みどり先生はこの作品を合唱ミュージカルと名づけておられますが)と呼ぶ楽曲スタイルの特徴は下記です。

○テキスト全体に緩やかに了解される物語がある。
○しかし合唱曲として完成している。(全く演出をしない演奏でも音楽的な満足がある)
・物語はナレーターが進行させるので歌い手は演技をするわけではない
・演出には大掛かりな場面転換や大道具を使わない

細かいジャンル分けには何の意味もないのですが、例えば文章の一言一句に音が付いていくパターンだとすると、レスタチーボ風の音階を全員で音取りして、物語を進行していく必要があります。そうなると、実はなかなか素人が歌うことは難しいものです。実際にかつて取り組んだ合唱劇についてはかなり練習時間がかかりましたし、ある程度の演劇的素養を磨き上げないといけない側面があります。また、大がかりな演出が想定されている作品ですと費用的な側面も無視出来ませんから、そうなると再現性という観点で少し厳しくなってしまいます。ですので、私の提案は、まず演出のない合唱曲としても演奏出来る作品であるということです。歌い手はより良い音楽表現のために、少しの動き(視線、一歩踏み出す、フォーメーション変更、手を上げる、拳を作る)にトライするということになります。また、緩やかに了解されるストーリーについては本を読むようにナレーションに進行してもらうことで、歌い手はあくまでも音楽本位に練習をしながら音楽の求める方向性の中で、表現者として自らの身体と向き合うことになる訳です。
優れた作曲家が優れた曲を作ってくれたということに尽きますが、この形式での演奏は客席からの評判が良いだけではなく、演奏者が音楽や言葉を身体ごと考え表現することに繋がるので、演奏者の質を上げることにも繋がっているようにも思います。…それが、ありそうでなかった新ジャンルとしての「合唱物語」という訳です。

<参考までに:「合唱物語」に類するジャンルの曲>
●既存曲
・混声合唱とピアノのためのメルヒェン「夢見る翼の歌」(曲:山下祐加)
・混声合唱とピアノのためのメルヒェン「青をめぐるクジラ」(曲:山下祐加)
・合唱物語「さびしがりやのサンタクロース」(曲:松波千映子)
・混声合唱とピアノのための「僕らのカレークエスト」(曲:相澤直人)
○現在委嘱中
・合唱物語「パン屋さんの匂いでしょ?」(曲:山下祐加)

さて、この「夢にコダマする〜あるボスざるの物語」ですが、簡単に言うとこれは、ボスザルというものに託した、「孤独」と「挫折」 と「目覚め」と「悟り」とも言える物語でしょうか。ある日、ボスざるの死を伝える新聞が高嶋みどり先生から送られてきて、それをもとに想像を膨らませてテキストを作りました。合唱部、放送部、演劇部、ダンス部なんかが一緒にコラボレートする企画としても面白いでしょうね。様々な可能性を秘めたこの合唱物語をどうぞお楽しみください。

※あらすじ
…これはあるボスザルのお話です。名前はコダマ。
対立し合う3つの群の中の1つのボスになったコダマは、知性も体力もあるサルでしたが、奢りと気の緩み、生来のナイーブさから、 目の前の職務を放棄し、対立するグループのメスザルと恋仲になり ます。当然のように仲間のサルからは反感を買って、谷底に突き落とされてしまうのですが、別のグループに拾われ、献身的な介抱を受ける中で考え方を変えていきます。その結果、新たに迎え入れてくれた群の最下層からスタートしたコダマは、群同志の戦いを勝利 に導き、グループのリーダーになるばかりでなく、やがて対立してい た3つのグループを融合させる、ビッグボスになります。
サルの話のようで人の話のような、どこかの作り話のようでよくある私たちの話のようなこの物語ですが、「ナレーション」と「擬人化、抽象化した詩」で構成してみたところ、高嶋みどり先生に今までにないミュージカルのような、素敵な音楽にしていただきました。

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