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 スチューデント・ソングブック誕生!→年末学生指導者合宿へ

11−20 2012.1.18

JCDA(日本合唱指揮者協会)関西支部のもとに緩やかに組織されている JCDAユース合唱団では、この夏に大阪と広島で歌った「原爆小景」 をもって2012年の春にポーランドに演奏旅行に行きます。私自身も大学時代に 1か月のヨーロッパ演奏旅行を経験することが出来ましたが、教会で宗教曲を演奏 することを通して合唱音楽の源流を確認出来たり、現地の方々に向かって歌を歌う ことで、歌が国境を越えることを体感したり、西洋文化の源になっている建物を見 たり空気を吸ったりすることは、大変貴重な体験でした。自分自身の合唱キャリア の中でも大変重要な1か月だったように思います。JCDAユースメンバーはオー ディションでセレクトされたメンバーではありませんが、気持ちを持って集ってい るメンバーですし、今後長く合唱を続けてくれるだろうメンバーですから、彼らが 若いうちに本場のヨーロッパで音楽経験をすることは強烈な体験となるでしょう。

一方、私の合唱指揮のミッションとして、大学生に対してどうしてもやっておき たいことがありました。それは大学生に対して出来る限りベーシックな共通レパ ートリーを作ることです。合唱曲も時代により変遷します。かつて人が集まれば 「夜の歌」や「サリマライズ」を歌っていた時期もあると思うのですが、古今東 西様々な曲が歌われている現在では多様化している状況が見られます。もちろん 各団が個性を発揮して良いわけですが、ベーシックな部分に緩やかにでも「大学 生たちが集まると必ず歌える曲を作っておく」ことは、大学を超えた彼らの連帯 を作ることにもなると考えていました。
例えば病院や福祉施設への慰問コンサート、小学校や中学校の校内合唱コンクー ルでのゲスト出演…、こういった場面で合唱団に歌を歌って欲しいというふうに 言われるケースがあります。ただし、必ずしも土日ではない平日の昼間の時間帯 となりますので、一般の合唱団は難しく、いくつかの学生合唱団に声をかけるこ とになりますが、大学生にも授業もありますし全員が集まれるようなことはあり 得ません。そこで、関西の大学生全体に声を掛けてみるというのはどうか…、と 思っていたのです。40人の団体に声をかけると8人くらいしか都合がつかない としても、JCDAの会員登録している大学生、もしくは関西にたくさんある大 学合唱団全体に声をかけると30人や40人のメンバーが集まってこれるという ことがありえるのではないでしょうか?しかしながら、ここで困るのはレパート リーが統一していないことです。大学生全体が一つの愛唱曲集を持っていたなら ば、この1冊を持ってくるだけでことが足ります。日頃から団の愛唱曲にして歌 ってもらっていたら良いですし、アンコールピースや大学生全体の合同演奏や講 習会のようなものにも使いやすいはずです。
昨今著作権や違法コピーのことについても慎重に扱うことが演奏者の義務、配慮 でもあることを勘案しても、よく歌う曲たちが一つの市販曲集に収まっているこ とはとても重要なことのように思っていました。
私が東京の指揮者の名島啓太さんに呼びかけ、2年ほど前から提案したことでは ありましたが、実は簡単そうで簡単には行かず、カワイ出版の協力により権利の 問題や費用の問題をクリアするためにアカペラ曲目だけに絞ることによって何と か実現出来たのです。この曲集には、ルネサンスからロマン派までの外国曲、日 本の合唱曲のスタンダードナンバー、新しい日本の合唱曲など、今の大学生に歌 って欲しい26曲が収録されています。

   ステューデント・ソングブック ステューデント・ソングブック (カワイ出版)

早速今年の年末学生指導者合宿(300人!!)で、この1冊を使って10曲のスピード音取りをしてみました。学生からの評判も上々で、きっとこの本はこれからたくさんの大学生の手元で活躍してくれることでしょう。私にはかつての「グリークラブアルバム」のイメージがあり、青い表紙のこの本のことを「青本!」と呼ぶことにしたい(この呼称を流行らせたい!)と思っています。 巻末には伊東から学生指揮者やパートリーダに向けた「練習の進めかた」(これは心構え?)、と、名島さんの具体的なレッスン方法(この通りにやっていたら簡単に上手になる)も掲載されています。 学生の皆さんはもちろん必携!かつて学生だったみなさんの合唱団にもぜひ愛唱曲集として携えていただきたいなあと思っています。

P.s
既に第2集の出版が予定されておりますよ。

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