映画史を遡り各年代ごとに傑作を選び出す。(1作者1作品という拘束で)
<10,20年代の作品から>
散り行く花 (ディヴィッド・ワーク・グリフィス 1919)
戦艦ポチョムキン (セルゲイ・M・エイゼンシュテイン 1925)
大地 (アレクサンドル・ドブジェンコ 1930)
第7天国 (フランク・ポーサージ 1927)
キートン探偵学入門 (バスター・キートン 1924)
巴里の女性 (チャールズ・チャップリン 1923)
ファウスト (F・ムルナウ 1925)
裁かるるジャンヌ (カール・ドライヤー 1927)
グリード (エーリッヒ・フォン・シュトロハイム 1925)
ジークフリート (フリッツ・ラング 1924)
アンダルシアの犬 (ルイス・ブニュエル 1928)
この年代はあまり見てる訳ではないが、歴史的価値を差し引いて、印象的 であった作品のみを並べた。
<30年代の作品から>
アタラント号 (ジャン・ヴィゴ 1934)
素晴らしき放浪者 (ジャン・ルノワール 1932)
巴里祭 (ルネ・クレール 1932)
非常線の女 (小津安二郎 1933)
人情紙風船 (山中貞雄 1937)
祇園の姉妹 (溝口健二 1936)
メキシコ万歳 (セルゲイ・M・エイゼンシュテイン 1932)
暗黒街の弾痕 (フリッツ・ラング 1937
吸血鬼 (カール・ドライアー 1930)
赤ちゃん教育 (ハウアド・ホークス 1938)
駅馬車 (ジョン・フォード 1939)
三十九度 (アルフレッド・ヒッチコック 1935)
デュヴィヴィエも見ているが、あまり良いとは思えない。
アメリカ映画と日本映画の情緒を越えた造形力が圧倒的。
<40年代の作品から>
自転車泥棒 ヴィットリオ・デ・シーカ 1948
新ドイツ零年 ロベルト・ロッセリーニ 1948
天井桟敷の人々 マルセル・カルネ 1945
夜の人々 ニコラス・レイ 1949
殺人狂時代 チャールズ・チャップリン 1947
我が道を行く レオ・マッケリー 1944
疑惑の影 アルフレッド・ヒッチコック 1943
教授と美女 ハウアド・ホークス 1942
逢びき デビッド・リーン 1945
第三の男 キャロル・リード 1949
「自転車泥棒」はかつて私のベストフィルムであった。「天井桟敷」のペシミズム。
ビングクロスビーの温かいアイルランドの子守歌・・・これは大好きな作品。
レイの白黒の哀しさ、陰影の凄さ(「大砂塵」も好きだが・・・)。 リーンの外国物はあまり良いと思わないが、この映像は忘れ難い。
<50年代の作品から>
雨に唄えば ドーネン/ケリー 1952
黄金の馬車 ジャン・ルノワール 1953
静かなる男 ジョン・フォード 1952
大地のうた サタジット・レイ 1955
生きる 黒澤 明 1952
山椒大夫 溝口健二 1954
青春群像 フェデリコ・フェリーニ 1953
さすらい ミケランジェロ・アントニオーニ 1957
肉体の冠 ジャック・ベッケル 1951
モンキー・ビジネス ハウアド・ホークス 1952
「雨に唄えば」は生命感溢れる大傑作。後は油の乗り切った巨匠の代表作と、これから巨匠街道を歩むイタリアの2人のみずみずしい初期作品。
<60年代の作品から>
ミュリエル アラン・レネ 1963
アンドレイ・ルブリョフ アンドレイ・タルコフスキー 1967
若者のすべて ルキノ・ヴィスコンティ 1960
野いちご イングマール・ベルイマン 1957
気狂いピエロ ジャン・リュック・ゴダール 1965
赤い砂漠 ミケランジェロ・アントニオーニ 1964
召使 ジョゼフ・ロージー 1963
ハタリ ハウアド・ホークス 1961
博士の異常な愛情 スタンリー・キューブリック 1963
しとやかな獣 川島雄三 1962
レネの不幸はタルコフスキーほどの器と才能を持ち得なかったことだが、この作品だけは時間の持つ感傷的なイメージを心に深く残してくれる。 レネの中では圧倒的に好きな作品だ。ルキノはこの作品に原点があるとも言える。「召使」の倒錯的な内容と目の回るような不思議な演出力。 「博士・・・」のラストの水爆、原爆の美しさとその音楽の甘いムード。 「しとやかな獣」には圧倒的なエネルギーを感じる。
<70年代の作品から>
ストーカー アンドレイ・タルコフスキー 1979
木靴の樹 エルマンノ・オノミ 1978
ルードヴィヒ ルキノ・ヴィスコンティ 1980
カサノバ フェデリコ・フェリーニ 1976
暗殺のオペラ ベルナルド・ベルトリッチ 1970
セリーヌとジュリーは船で行く ジャック・リヴェット 1974
ラ・パロマ ダニエル・シュミット 1974
時計仕掛けのオレンジ スタンリー・キューブリック 1971
四季を売る男 ヴェルナー・ファスビンダー 1971
さすらい ヴィム・ヴェンダース 1975
2000年のジョナス アラン・タネール 1976
ラストムービー デニス・ホッパー 1971
愛の亡霊 大島 渚 1978
ピロスマニ グリゴリー・シェンゲラーヤ 1969
この年代は映画史上の一つの転換点とも言えるのか、個性的な傑作が多い。 それにしてもオルミの映像の素晴らしさ。時間と風景を分かち難いものと して悠々と描く態度はアンゲロプロスと対比出来よう。ラストシーンの灯の 揺れ。イタリアの良き伝統を受け継ぎつつ、圧倒的な器の大きさと才能を 感じさせる。
「セリ-ヌ・・」はその発想が素晴らしいとんでもない大傑作。「さすらい」 「ラストム-ビ-」はロード・ムービーの原点。「ラ・パロマ」の山の上の映像の新鮮さ。「ジョナス」のおおらかな映画作り。ベルトルッチは巨匠たちに肩を並べられる代表作。大島の冴え渡る演出。「ピロスマニ」の映像。 「オブローモフ」は何といっても昼下がりの雨の中の光線。
<80年代の作品から>
アクシケリブ セルゲイ・パラジャーノフ 1988
サクリファイス アンドレイ・タルコフスキー 1986
霧の中の風景 テオ・アンゲロプロス 1988
ラスト・エンペラー ベルナルド・ベルトリッチ 1987
ファニーとアレクサンデル イングマル・ベルイマン 1982
天国の門 マイケル・チミーノ 1981
肉体の悪魔 マルコ・ベロッキオ 1986
黒い瞳 ニキータ・ミハルコフ 1987
ザ・デッド ジョン・ヒューストン 1987
パリ・テキサス ヴィム・ヴェンダース 1984
友達のうちはどこ? アッバス・キアロスタミ 1987
数に溺れて ピーター・グリーナウェイ 1988
汚れた血 レオス・カラックス 1986
グレートブルー リュック・ベッソン 1988
光年のかなた アラン・タネール 1980
コントラクト・キラー アキ・カウリスマキ 198
この辺からはリアルタイムで見ている作品が多い。巨匠の代表作と新鋭のみずみ ずしい作品が混在。映画が急激に多数の方向を向き始めたとも言える。「ザ・デ ッド」はヒュ-ストンの作品とは信じ難い美しい傑作。
<90年代の作品から>
覇王別姫 チェン・カイコー 1994
美しき諍い女 ジャック・リヴェット 1991
アブラハム渓谷 マヌエラ・デ・オリヴェイラ 1993
天使の涙 ウォン・カーウァイ 1995
息子の告発 イム・ホー 1994
ユリシーズの瞳 テオ・アンゲロプロス 1995
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