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こどもコーラスフェスティバル2017
       「歌い合う、聞き合う、生かし合う」コーラス

今回は新実徳英の「白いうた青いうた」から「ぼくは雲雀」「ぶどう摘み」 「火の山の子守唄」「なぎさ道」「僕という名のひとり」(「春つめたや」 は練習のみ)を取り上げました。
いずれも合唱形式ではなく2部(重唱)の譜面でしたが、私が意識したのは、 短い時間の中で曲を完成に持っていくことでなく、プロセスの中で歌い手が 「互いの歌声に気付くこと」でした。私の合唱団でも定期的に練習に利用して いる2重唱ですが、最初からパートを固定するのではなく、まずみんなでメロ ディーを歌う、次に互いのパートを歌ってみる、その次に、例えば隣同士をAB ABと分け、向かい合いながら(もしくは2,3人のグループ単位で)それぞれ のパートを交互に歌ってみる…、というプロセスを踏むことで、自然なかたち で子どもたちの耳を育てることが出来ると思っています。つまり、反復訓練に よる固定(定着)化とは逆の発想として、耳を作り、チーム力を獲得することも 合唱の重要なファクターだと思うのです。
時間と場所の関係で、今回は全曲についてそのような丁寧なプロセスを作ること は出来ませんでしたが、どの合唱団もしっかりと練習をしてきてくれていました ので、楽しい150分が過ごせました。
さて、以前よりコラム欄でも書かせていただいてましたが、私は子供の合唱が 特別のお子様ランチであってはならないと思っています。このような練習プロ セスも、実は何も子ども合唱団に限ったことではなく、一般の合唱団の基礎的な 取り組みの視座として重要だと感じます。加えて、言葉と戯れること(言葉の 意味を解説することではなく)も含めて、このような良質のテキスト(歌詞) と構成を持った曲を子どもとともに練習し、曲の中から様々な発見を得ることは、 とても大事なことです。子どもコーラスから(指導者を含めた)大人が学び直す ことは山ほどあるのですね。
次回の開催は、私の地元である「京都」です。ぜひ、周囲と協力しながら「大人 が応援し、大人も学ぶ、子ども合唱フェスティバル」を目指してみたいと思います。

2017年『ハーモニー 秋号』より
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