アルティ声楽アンサンブルフェスティバル2007開催

2007.7.16

競い合うのではなく、「演奏し、聴き、学び、語り合い、再会を誓い合う」 場面を作ろうとしてスタートした「アルティ声楽アンサンブルフェスティバル」 は、今年で四年目となりました。京都府民ホールアルティの素晴らしい特性(音響 効果、舞台設定が自由に変えられること、客席が近いこと)を利用しながら、祇園祭に合わせて全国からの参加を呼び掛けて実施をしております。
これは、合唱連盟行事でもなく、今のところどこからの助成金も全くなく、実質的 には数名の手による手作り企画となっています。招待団体の方々には「招待」とは 名ばかりでほとんど自弁できてもらっていますし、少しでも多くの学生に見てもら いたくて学生券を安く設定している為に、常に赤字の危機と闘っております。それ でも、フェスティバルの度に合唱の喜びや様々な人の繋がりを感じますし、参加者 や客席の笑顔と温かさに励まされて、いずれは海外からも団体が呼べるような広が りあるフェスティバルにしていきたいと夢を持って頑張っております。

コンクールだと8分そこそこの演奏になるわけですが、20分くらいの時間が与えられると、どの団体も「作った顔?」ではなく、その団体の持ち味(弱点も含めた個性や表情)が出てくるものです。そして、仮に綻びを伴っていたとしても、 その合唱団の個性や方向性を垣間見ることのほうが、実は私たちの胸にはぐっと迫 ることになるのだということを思い知らされます。コンクールとの役割の違いとい う意味で言うと、コンクールでは捉えきれない表情をこのようなフェスティバルで 捉えていきたい…ということでもあります。
例えて言うなら面接での会話ではなくって、居酒屋での会話とでも言うのでしょ うか。粗を探すような聴き方にならず、どの団体が歌っても、その団体特有の音 楽の表情や個性を見つけられることになります。各団体に対して、その音楽との向 き合い方や、この場で出会えたことそのものに心からの拍手が寄せられているとこ ろに、<客席との一体感が>感じることができ、そこにこのフェスティバルの存在 意義があるのではないかと思っています。

それで、今回ですが。
いやあ大変なことでした。
ajisai関西では台風が去り、ほっとひと息ついたところだったのですが、実は台風はそのまま東海から関東地方に向かってしまっており、招待団体の小田原少年少女合唱隊と公募で参加してもらっていた安城学園高校(愛知)が「時間通りに来れない」という事態が発生いたしました。実質メンバー数名の実行委員会ではスケジ ュールを練り直し、ワークショップを後ろに持ってきたり、島根県のPure Blueberryに安城学園高校の代理でステージを持ってもらう調整をした り、ワークショップ講師の桑原先生が間に合わなかった時のために私本人がワークショップをやることにして慌てて資料を刷ったり・・・、ただでさえどたばたするのに、ホールとの調整を含めて大変な状態となっておりました。
しかしながら、何かこういった事態があると逆にプラスになることも多いものです。 急に歌ってくれたPure Blueberryは、交流会で用意していた必殺 「ひょっこりひょうたん島」で客席を大いに盛り上げてくれましたし、客席全体で小田原の到着を待つ雰囲気や、我々のどたばたを心配してくれる空気までが会場に生まれており、あたたかい客席に助けられてなんとか切り抜けられたのでした。

二日目は二日目で、出演団体数が増えただけでなく、こちらの段取りも甘く随分時間が押してしまいました。そのことによって松下耕先生、Gaudiの方々の 新幹線の時間が過ぎてしまい、東京まで立って帰られる方も多かったようで、本当に迷惑の掛けっぱなし状態でした。 (一週間後にお詫び→アンジェさんとなにコラ君)

いやあ、苦労すればするほど、思い出としては尊いものです。
少し経ってから思い出すと、楽しい楽しい夢のような二日間でした。
急遽バスの中で練習してもらい、二日間とも(別プログラム)を演奏してもらったPure Blueberryの皆様(→松江にて、 再び松江にて)、世界的合唱団であるGaudiと小田原少年少女合唱隊の皆様、特別にお願いして仙台から来てもらった「六月の雨」 に、青森から来てもらった今井先生、素敵な演奏をいただいた岡山のこーるゆうぶんげんの皆様、、もちろん関西の団体、関係者、客席の皆様に感謝感謝です。
私は、裏方でいながら、それぞれの演奏は必ず聴くことにしており、音楽や合唱の 持つ役割と機能、その温かさを存分に感じることが出来ました。

来年こそは、マネジメント体制をしっかりしなくては。
そして、どこか助成金を出してもらうところを探さねば。

来年の開催は7月12日13日です。
ゲストの団体はもう決まっていますよ。
ぜひ、参加者として、聴き手として、京都まで来てくださいね!