カレーに始まり、パンに終わる18−07 2018.12.29
合唱部員(大学)より先に演劇部員(小学校5年)でもあり、合唱指揮者(社会人)より先に作家になる(小学校6年)ことを夢見ていた私にとって、最近はともかく「合唱物語」という形式が面白く、さらに開拓すべき大切なジャンルということになっています。もちろんここに辿り着くまでには林光先生や萩京子先生らの合唱劇に取り組んでいたことも大きな経験値です。また平行して様々なシアターピース作品にトライしたり、合唱曲のシアターピース的なアプローチにトライをしてきたということもあります。しかし、現在の盛り上がりについては「名古屋大学コールグランツェ」と出会ったことが大きく、意欲ある学生メンバーのおかげでたくさんの作曲家とともに実験的な作品を誕生させることが出来てきています。
「合唱物語」の形式は、独立した楽曲の間に存在する緩やかな物語をナレーションで繋いでいく形式です。まるで絵本のページをめくるように曲が展開しながら、歌い手は言葉や歌詞から芽生える自然な表情やしぐさを交えて演奏します。演出家にも指導してもらいますが、まず、合唱団は合唱作品を一生懸命に練習をして良い演奏をすることを第一義に考えますので、団員が「演技をする」ということではありません。ただ、言葉に合わせて、緩やかに身体を連動させますので、どちらかというと、うたと身体、言葉と音楽、身体と表現、アクションとリアクション、コミュニケーション…そのようなベーシックなものに気付かせてくれるという価値があります。ですので、内容がボスザルだろうがカレーだろうが、中にある言葉と音楽の問題、歌と舞台の問題に気付いて「表現する」ということが肝要になります。今年の初頭は名古屋大学コールグランツェによって、カレーを巡る冒険話を演奏することになり、締めくくりでは合唱団「葡萄の樹」20周年記念演奏会で「パン屋さんの匂いでしょ?」(山下祐加)を演奏することになりました。同志社コールフリューゲルのサマーコンサートでは「お菓子の時間」(横山智昭)を演奏しましたので、今年は食べ物イヤーでもあったのですね。 |
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