グランツェふたたび09−1 2009.1.22昨年、30周年記念演奏会でご一緒させてもらったことが縁となり、今年も名古屋大学 コールグランツェの演奏会で指揮をさせてもらいました。昨年の現役生からも「久しぶ りに大学生らしいバイタリティを見た」という感慨を持ったものですが、驚いたことに 今年はメンバーも増えてさらにパワーアップしておりました。そして、今年もまた、学 生らしい溌剌としたチャレンジ精神に溢れた活動を共にすることが出来、私自身がとて も楽しい思いをさせてもらいました。
今回指揮したのは、三善晃の大曲「蜜蜂と鯨たちに捧げる譚詩(オード)」です。
これは東京混声合唱団が一般合唱団と競演するために作曲された三善晃渾身の2群合唱で、
とても中規模の大学合唱団が簡単に取り上げるような曲ではありません。しかしながら、
何となくグランツェメンバーが持っている目の輝きに触発され、自分の中の世界が広がる
こと、深まること、本物の音楽のみが持つ「人の人生に根底から問いかけ、変革していく
力」をグランツェのメンバーが潜在的に求めていることを察知し、ついついこの曲を薦め
てみてしまったのでした。八月段階では「やはり無謀すぎたかな、でも、失敗しても絶対
に得るものは多いはずだぞ・・・」と思ったりしたものですが、秋頃から声もしっかり出だし、
曲に対して積極的に向き合い始めており、「曲が合唱団を育てる」ということの典型的な
例を見たような気がします。重要なのは、少なくとも私が何かを教えたとか、私の必死の
練習でよくなってきたとか言うものではなく、私は、「やれるぞ!、やれるはずだぞ!」
というエネルギーを送り続けていただけで、季節が変って次来たときにはちゃんと出来て
いるというような事態でしたので、驚きました。(そういえば、信州大学も似たような状
況でした。)
いろんな意味で「恵まれた環境」を有している関西の大学合唱団ですが、ともすれば、
そのことが当たり前になりすぎていて、逆境を跳ね返すエネルギーとか、無茶かもしれな
いけどトライしてみることとか、そういった精神が欠けていると思う場面に出会うことも
あります。もちろん、私は一つや二つの例を見て「関西の大学生も見習え」と叫ぶような
単純な人間ではありませんが、学生の状況に応じて、学生時代ならではの「出会いやチャ
レンジを周囲が応援してやる状況」というのを作っていかないといけないと痛感したもの
です。 |
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