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 日めくり詩人〜2017

17−08 2018.1.14

あくまで自分へのメモとして、もしくは事実を虚構化し、逆に真実をあぶりだすため の縁(よすが)として、またしても下記に日記ふうに記憶を羅列してみる。私の記憶 は窓ガラスに映る私の顔という虚構の輪郭でしかないわけだが。
あ、そうそう前回と同じく出来るだけ合唱とは無関係の事項を並べた。今年一年を思い つ くままランダムに。しかしながら、相変わらず薄っぺらい日常ではある。本来的に 目にすべきこと、耳にすべきことはほかにあるような気がする、そして、心に生じる本 当の漣のようなものを捉えながら日々を過すべきなのだが。


〇月×日
東京で酒を飲み、電車に乗って目覚めたら千葉だった。深夜のレインボーブリッジをタクシーで渡る羽目になった。

       



○月×日
新年の日の出を眺める。「今年こそは・・・、いや、今年も・・・、いや、今年こそは」そんなことを思いながら1年ずつ年輪を重ねていくわけだ。ちなみにモネの絵画のような夜明けであった。

   



○月×日
私もまたバッジを着けると笑顔になる人だったということが証明された。

 



○月×日
某都市の某喫茶店ではいくつかの歌詞が書かれている。エルガーの「愛の挨拶」や「ドリゴのセレナーデ」を聞きながら。

       



○月×日
アイリッシュ珈琲を飲みながら、アイルランド民謡について考える。ダブリンのカフェの緑のテーブルクロスについて考える。黒い川と黒いビールについて考える。

       



〇月×日
今年の花梨は全く実を付けなかった。
考えて見ると、昨日は驚くほどの豊作だったものの、一昨年は実がなった記憶がなく、 その前の年は確かに実を付けていた。ということは2年に一回実をならすということ なのかもしれない。それとも見つけられないだけで秋には幾つかの実がなるのだろうか。



〇月×日
太陽の塔は遠くから見ても近くで見ても感動的である。意味もなく民族博物館でジンバブ エのカワセミのビーズ飾りを買った。

        



〇月×日
名古屋で少し時間があったというので、こういうときは美術館だと思っていたら、月曜休館だった。
せめて散髪をと思ったら、月曜なので休みだった。ビールでも飲むしかない時間となった。

       



〇月×日
今日、子雀を助けた。自動扉が空いた瞬間に建物に入ってきたのだろうか、その後、ガラス扉に ぶつかってばかりいて外に飛び出せないでいたのだ。徐々に力尽きてくる雀は私が近寄るとやが て観念したように動かなくなり大人しく捕まった。
私は外に出ると、雀を空に放したのだが、驚いたことに、雀は躊躇した後に飛び立ち、目の前の 建物のコンクリート壁面に垂直に停まった、そしてまた戻ってきた。何だか動揺して戻るべき空 を間違え、しかも凹凸のない壁面に停まるという失態えで力尽きたのか、私は再び雀を捕まえた。
        
おそらく小雀であろうか、ぶるぶる震える健気な様子をしばらく見ていたが、かりんの木の枝に とまらせたところ、ようやく本来の空に向かって飛び立っていった。

それからしばらく、朝になると数羽の雀が私の行く手で遊んでいる。私が雀にやさしい人間であ るということが、雀社会の中で広がったようだった。まあ、お礼にミミズを持ってこられても困 るところだったが。



〇月×日
あろうことか、台風で花梨の木が根こそぎ倒された。こんな脆弱な土地に植えられていたのか。
   



〇月×日
花梨は業者の手によって植え替えられた。頑張れ花梨の木。
        



〇月×日
枝は落とされたが、しっかり命は保っている。頑張れ花梨の木。実を実らすのは数年後で良いから、 しっかり耐えるのだ。応援している奴は必ずいるということだ。
        



〇月×日
眠れない飛行機で久しぶりに映画を見た。



〇月×日
深夜にサッカーのワールドカップ抽選会を見ていた。日本の抽選のときだけ眠ってしまっていたが。 おお、マラドーナにジーコ。誰にも黙っていたのは、翌日が演奏会だったからである。私の人生の 優先順位の中で、ワールドカップの抽選会は相当上位に来るということが分かった。



〇月×日
白ヘビが現れた夢を見た。人生二度目である。前は幼い頃、実家の物置の屋根の上に居た。 今回はどこだか分からない。ああ、白ヘビか、良かったが、これをどうしたら良いのか、と 思っていたら目が覚めた。



〇月×日
某男声合唱団の練習の後、いや正確に言うと練習の後の飲み会のあと、「野洲駅」で目覚めた。 0時40分であった。停まっていたタクシーの運転手に聞くと、京都まで2万円といわれたので、 あきらめて「煌々」とあかりがついていたビジネスホテルに泊まった。両国と思っていたら千葉 で目覚めたことがあったが、距離的にはその上を行っている。
「人生における失敗談は何ですか?」というような質問を受けたときに、たくさんの失敗はして いるはずなのに、会話のキャッチボールになるような話があまり思い浮かばず、相手につまらな い思いをさせることの多かった私だが、年齢とともに確実に増加傾向を辿っている。



○月×日
偶然ではあるが、少しは意識して、このところ毎年11月に青山の銀杏並木を通る。去年も今年も2日ばかり遅すぎたようだが。

       



〇月×日
和歌山に素晴らしい日本酒があるというのが意外であり、多少悔しい気もするが事実である。 紀土こそ私にとって最高ランクの日本酒。佐賀の鍋島(純米大吟醸)、京都の英薫やどりぎ( 純米大吟醸)、山形のくどき上手(純米吟醸)、日本酒を美味しく飲める人生を過ごしたい。
 



〇月×日
時間があったので、ワインバーに行った。喫茶店の代わりに。新幹線に乗るまでの時間という 意味だ。スペイン以後、ワインについても自分の好みが主張出来る安くてもくらいにはなって きている。まあまあ自分にあったワインを見分けられる人生を過ごしたい。



〇月×日
時間があったので、和菓子屋に入って葛切りを食べてみた。京都に住んでいて良かったと思う 瞬間は多いが、こんなときもそうだ。町屋作りの中庭を見ているだけで、美しいと思う。出て きた葛切りに季節の果物が添えられていた。



〇月×日
時間がなかったので、10分間散髪に行った。実際に掛った時間は待ち時間を入れて18分 なのだが1080円だと上出来だ。とは言え行きつけの散髪屋が予約制になってから行きつ けでなくなってしまっているのが残念だ。最後にオレンジの香りの整髪料をつけてくれるの が気に入っていたのだが、時間のないことを言い訳にする人生になってはならない。



〇月×日
友人にタルコフスキーの映画を勧める。



〇月×日
友人からシューマンの「献呈」が好きだと言われ、憑かれたように聞き返す。
        



〇月×日
ともかく、一年が過ぎるのが早い。気づいたら私はもう半世紀生きたことになっている。
私が10歳の頃の父親の年齢だ。あと10年、20年の中で何をなすべきなのかと考えながら 生きている。



〇月×日
Balvanieを飲みながら突如新しい曲集のタイトルが浮かぶ。「開店前のギムレット」から 「おやすみズブロッカ」まで。ラム酒はカリブのリズムで。アンコールはヨハンシュトラ ウス風ポルカでどうだろう。
 
  



〇月×日
大晦日のルーティン。
錦での買い物(打田の漬物、量り売りの新酒、干支の手拭い)、蛸薬師の大根炊き、お風呂屋さんの風呂に入り月を見ながら帰り、買ったばかりの日本酒を飲んで年を越す。
       

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