長崎〜なにわコラリアーズ「祈り」の演奏会20−02 2020.10.12「なにわコラリアーズ」では、練習後の飲み会がほぼ「飲み会議」(もちろんコロナ前の話)になるのですが、長崎の浦上天主堂で「おらしょ」だけを集めた演奏会をしたい、という話題は随分以前から出ていたものでした。実際に教会の中で歌う経験を得た者がおり、その話を聞くたびに、「じゃあ、なにコラで行こう」という話をしていました。私も大学生のときに1か月に渡るヨーロッパ演奏旅行で、各国各所での教会コンサートを経験していますので、そこには「コンサートホール」では得られない体験があるということは分かっておりました。「なにコラ」としても中原中也の詩による曲を集めて、山口の中原中也記念館の近くで演奏したり、北陸を題材にした楽曲を冬の金沢で演奏したこともありました。演奏者としてどんな曲を演奏するか、というだけでなく「どんな場所で」「どんなシチュエーションで」演奏をするべきか(したいのか)ということも大事な選択だな、と思っていたのです。 念願適っての長崎での演奏会については、私が地元のマスコミ向けに書いた演奏会の企画書の一部を紹介いたします。
なにわコラリアーズ長崎演奏会 世界文化遺産登録記念〜「祈り」
■企画理由 ■追記 前日には地元の高校生を中心として合唱講習会(講師:伊東恵司)も企画しております。 気持ちを集中させるために前日から長崎入りをし、一人で散策しておりました。長崎には全国大会を含めて何度か足を運んでいたはずなのですが、やはり気持ちが「おらしょ」の演奏に傾いていましたので、何だか新しい街の姿を見ているような気がしました。当日朝も含めて散策した長崎の街は、カトリックの建築物、教会の鐘の音、原爆の被害跡、平和のモニュメント、資料を読み手を合わせる観光客…、元気に遊ぶ子供たち…、様々なものが混然一体となっており「祈りに満ちた」街だと思いました。長崎県合唱連盟の協力もあり、浦上天主堂での演奏会は大変多くの拍手をいただく納得のいく演奏になりました。千原先生に演奏に立ち会っていただいたことで、私たちのモチベーションも高まり、客席の雰囲気も引き締まりました。2名の作曲家の渾身の名曲を再認識するとともに、そこに至るまでに脈々とつながれてきた音楽の歴史や祈りの歴史、人の思いや未来までをも感じることが出来、私としても生涯の中で忘れられない演奏の一つとなったと思います。
また、驚くような奇跡の瞬間も体験出来ました。当日はやや曇り空だったのですが、千原先生の「おらしょ」の演奏中(第二楽章のラスト、アベベルムコルプスの演奏開始時)には光が差し込んで来て、マリア像とキリスト像と教会内をステンドグラスの色が包み込みました。(歌い手から見ると私がステンドグラスの光の中にいたと言うことです。私から見ると歌い手が変幻する光に包まれており、ステンドグラスというものの効果をこんなに感じたことはありませんでした。)これは、教会でしか味わえない神秘的かつ得難い体験でした。演奏会場でのどんな演出よりも素晴らしく、やはり「会場を選んだことでしか味わい得ない」音楽体験だったと言えます。 |
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