頑張れ、大学合唱! 〜大学合唱団の現状について20−05 2020.10.2
現役の大学合唱団のことを語るとき、古いOBに苦境を説明すると「またまた、そんな大げさなことを言って」という言葉をよくいただきました。若いOBにクラブ活動の理想を語ると「いやいや、それは学生にはとても無理ですよ」と言われたものでした。
多数の大学合唱と関わりのある私ですが、この3月中旬から8月くらいまでは全く大学合唱団で練習をしない状態でした。その時も「大変だねえ、早く練習出来るようになったら良いね」と声をかけられましたが、私は4月の段階ですでに絶望的な気持ちになっておりました。なぜならどの合唱団も「新勧が出来てなかった」からです。つまり、それが見つめなければならない現状です。 1年間新勧活動が出来なかった場合、来年新勧活動が出来る学年は「新3年生のみ(新4年生は就職活動、新2年生は不在)」ということになります。そしてもし、来年新勧活動が出来なかったとしたら(2年間連続で新勧活動が出来なかったら)、大学合唱団は「誰も勧誘出来る立場の人がいない」という状態になり、壊滅的な事態に陥ります。高校のように先生が授業で呼び掛けるというわけにはいきませんので。
もちろん例えば、直接的な勧誘活動をしていないのにリモートによる勧誘だけで大学合唱団に入る人がいます(考えられます)が、それはほぼ中高での合唱経験者です。しかし、例えば7月下旬という時点で、某大学の混声合唱団には7名の経験者が入っていますが、同大学の男声合唱団には1人も部員が入っていないという現象があります。それは現在日本にある高校合唱団のほとんどが女声合唱団か混声合唱団で、いずれにしても男子部員(特に男声合唱経験者)が極少だからです。
ちなみに、大学のどの部活動にとってもコロナは痛手なのですが、例えば野球部に入りたいと思っていた人は新勧時期の勧誘がなくても入るのではないでしょうか?同じようにラグビー部や陸上部にしても、セレクションや推薦入試もありますので、新入部員が皆無になるという現象はありません。オーケストラにしても大学から楽器を始める人は少ないので、勧誘があるかどうかに関係がなく、もともと楽器をやろうと思っていた人たちが一定人数入ってくるとは思います。ところが、そのようなスキルがあらかじめ必要ではないクラブ・サークルについては「オリエンテーションでの勧誘だけが命綱」だったのです。 勧誘に苦労をした30代以下の若いOBにはよくわかるでしょう。焼け跡のような状態になっても看板一つでテニスサークルは復活するかもしれませんが、看板一つで合唱団に入ってくる大学生が何人いるだろうかということです。「演奏会がなくなる」「練習が出来ない」のはもちろんのこと、「チラシも配れない」「対面での勧誘が出来ない」「大声を出せない」「集まってミーティングすることもできない」「肩を組むことも、飲みながら喧嘩することも、夢を語ることも出来ない」…この状態で何をどう頑張ることが出来るのか…、今の大学合唱の状況はまさしくそれではないかなと思うのです。 大学は秋学期も大半がリモート授業であることが決まっています。(気づかれにくいですが、40人クラス以下の中高の授業が再開したとしても、400人授業や800人授業があり、1万人や2万人の学生が来ることになるキャンパスに活性が戻ることが一番難しいのです。)このままいくと今年の課外活動もかなり限定的となり、来年の新勧時期の直接的な勧誘活動も見通しは暗いです。満足な練習が出来ない、満足な勧誘が出来ない状態が続いてコロナが明けたとしても、その時すでに、少人数の小さい合唱団になっていたら、アカペラサークルと競合しながら崩壊していく団体も多いのではないでしょうか。私はそのような危機感を持っています。
喫緊の課題は下記でしょう。 私はコロナの以前に潰れてしまった大学男声合唱団をたくさん見て来ています。そのことを残念に思い嘆くOBにもたくさん出会ってきましたが、団体が壊滅してしまってからでは援助の費用がいくらあってもほぼ復活させられません。大学合唱団(特に男声合唱団)史上最大のピンチに対して、合唱界一丸となって備えていかねばならないと思っています。 |
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