なしのはなし20−07 2020.10.2幼い頃、よく「食べ物では何が好き?」と言う質問がありましたが、そう問われたときに、私はいつも答えに迷っていました。昭和でしたので「イチゴ!」「メロン!」とか「ケーキ!」という答えだと瞬時に「大きな共感」がその場に生まれるのですが、「梨」というのは、なかなかその場の空気を盛り上げにくいなあ、と思ったものです。しかも、イチゴも好きだし何ならパイナップルもオレンジも好きだから、わざわざ「なし」と答えるのもどうか、と子供心に思ったりしながら、それでも「梨!」と言うと、一瞬の間をおいて「ああ、梨、美味しいよね、私も大好きだよ」と、先生あたりが言ってくれるという状態を何度か経験したものです。
私の母親の実家は兵庫県の山陰海岸側の浜坂という町ですが、特急で言うと次に止まる駅は鳥取でしたから、ほぼ鳥取県との県境で、毎年秋になると祖父母が鳥取の「二十世紀梨」を大きな段ボール箱で送ってくれたものでした。
祖父母は随分昔に亡くなっておりますが、9月になると別の地域から違う種類の梨を送ってくださる方がおられます。今年も美味しい梨にありつけました。この季節は朝や夕暮れには少し凛とした空気を感じ、そのはっとする瞬間に「梨の皮を剥く音」「梨の実の白さ」が似合うようにも思います。 |
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