桃の花、花灯路07−05 2007.3.23
梅の花はまだ寒さの中に蕾を膨らませ、春の到来に先駆けて見るものを力強く
励ましてくれるような気がしていますが、桃の花というのは霞がかかった
夢のような春の優雅さを感じさせてくれます。私は男兄弟でもあり「ひな
祭」とは無縁に育ちましたので(父の仕事の関係で3月3日は「耳の日」
と刷り込まれていた)大人になるまで梅も桃も区別がつかなかったように
も思います。 さて、この季節に近年始まった催しですが、東山の花灯路(祇園から高台 寺の路地に灯篭を灯して夜の東山の町並みをライトアップ)というイベン トがあります。その特設舞台において「みやこ・キッズ」で京都のわらべ うたと季節の歌を歌わせてもらいました。夜なので少し(かなり)寒かった のですが、子供というのは登場するだけで拍手をいただけるので嬉しいで すね。ましてや一生懸命歌う姿には道行く観光客が足を止めてくださいま した。合唱ということで聞きに来る人ではなく、いろんなお客様に子供た ちの歌声を聞いてもらいたいと思っていましたから、今回の出演は子供た ちともども良い思い出になりました。帰りには何人かの子供らとぶらぶら と花灯路を眺めながら四条京阪まで戻りましたが、途中で甘酒を飲んだり、 京都らしいお店を覗いたり、独特の妖しい雰囲気を持つ春の宵を味わうこ とが出来ました。(お陰で某合唱団の練習には大幅に遅れる)。
それにしても、私自身子供の頃は当たり前過ぎる「季節」というものに関
してはかなり無頓着でもありましたが、今の時代「季節」を五感で感じる
ことは何にも優先して大事なのではないかなあと思っています。「食べ物」
や「行事」や「歌」や「遊び」の中から季節感が失われてきた現代ですが、
考えてみればこれらは全て子供の生活そのものであります。そして、現代
っ子と呼ばれた私たちの子供の頃ですら、思い出は何らかの形で必ず「季節」
と結びついているように思いますし、「季節」を強烈に体感していくことこ
そが、子供の五感を育て感受性を養うような気がします。生活が贅沢になる
ことと、生の季節を感じさせることとをどのように両立させていくかという
ことは大きな問題であり、課題でもあるのでしょうが、季節を生活の中で丁
寧に感じていくことは実は社会の役割でもあり、大切な使命なのかもしれま
せん。
「春の宵に…、ちょっと寒かったけど、東山の花灯路の舞台で春の歌を
歌った…、帰りには甘酒を飲ませてもらって温まったなあ…」
P.s 写真: 季節の花300より
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