Keishi Ito Homepage 〜目をひらく 耳をすます つぶやく〜 


 ブラボー!左座家

11−11 2011.8.2

今年で8回目を迎える京都の「アルティ声楽アンサンブルフェスティバル」 ですが、普段とは少し日程をずらした開催になったものの、多くの人々の 熱唱と温かい拍手に彩られて何とか無事に終えることが出来ました。松下 耕先生不在(外国へ)のために、迷った講師には松下先生の紹介で石川和 子先生にお越しいただきました。ゲスト団体ですが、兼ねてから私が紹介 したくてずっと声をかけておりました「家族コーラス:左座家」お迎えす ることが出来ました。二日間の締めは「コーラスめっせ」で部分初演した、 「デュエットで歌うモツレク(千原版)」の全曲初演という盛りだくさん のものでした。

まず、石川先生です。二日間にわたってグレゴリオ聖歌の講習をしても らいましたが、歌唱テクニックやアカデミズムに過ぎる話しではなく、 言葉、歌うということ、祈るということ、生きるということを語ってい ただき、「集い、歌い、聴き、学び、交流する」このフェスティバルの 趣旨に添った多くのお言葉をもらいました。「メリスマ、メロディ、メ ロン」という言葉のことや、「アルシス、テーシス」についても教えて もらいましたが、理屈ではなく、全身全霊のお話から人柄や世界観が滲 み出てくるので、金言に満ちた本当に意義深い時間となりました。ご高 齢であるにも関わらず、全ての演奏を熱心に聞いてもらいましたし、二 日目の最後に言葉を貰ったときには涙を流され、歌い手聞き手全体を祝 福していただけたように思います。石川先生を通して、音楽の良さ、歌 声の素晴らしさを受け止めることが出来たようにも思います。

熊本との関わりについては述べたとおりですが、そこで出会った左座さん のご家族の歌声は、私にとってはびっくりするほどの理想郷でした。歌心 に満ちているだけでなく、言葉が大切にされ、フレーズの流れを大切にさ れ、決め所の和声の色合いも大切にされ、技術と音楽、音色と歌心とが一 体化したアンサンブルで、このフェスティバルの趣旨にもぴったりのゲス トだと思っていたのです。以前からオファーをかけていたのですが、熊本 県のコンクールの日程もあり、たまたま日程がずれた今回が来ていただけ る最大のチャンスでもあったのでした。
演奏は圧巻でした!。得意の「七つの子」「アイスクリームの歌」で観客 の心をばっちり掴んだ演奏は、技術的に難易度の高い高田三郎の組曲や、 ブルックナーの宗教曲にも至りました。北川さんの「なみだ」などは、テ ンポの設計とフレージングが完璧で、「お見事」としか言いようのない素 晴らしさでした。
完璧なサウンド、至福の時間が流れ、私も主催者としての緊張感はどこか に吹っ飛び、一聴衆として本当に音楽の温泉につかったような気分になっ ておりました。本当にブラボー左座家です。
この家族コーラスを京都の皆さんに紹介できたことに誇りをもっております。

二日目は、私自ら「モツレク」全曲を指揮させてもらいました。即席メン バーで2時間練習しただけの本番でしたが、石川先生と千原先生に見守ら れながら、平林先生のピアノに引っ張ってもらっての演奏でした。
アルティホールそのものの響きにも助けられましたが、歌い手の皆さんに は本当によく頑張っていただき、即席合唱団とはとても思えないサウンド に包まれることができました。二日間、いろんな方々に感謝です。

P.s
遠隔から来てくれた団体の皆さんには本当に感謝。
プラバ少年少女は相変わらずの楽しいステージング、倉敷少年少女は 確かな歌唱力と楽しい曲紹介で、ともにオープニングを飾ってくれま した。
「響香」さんは昨年よりも安定感が増していてました。アルティへの 参加が刺激になってくれていたとしたら嬉しいことです。Ensemble W akayamaさんのスーパーアルトにもびっくり。ばーれんこーるは、洒脱 でチャーミングな?演奏。福井県のコーラス華さんは、楽しい演出。 鹿児島から参加の「La Fontana」は委嘱曲である北川さんの「かなう た2集」と信長先生編曲(作曲)の地元の歌を演奏してくれました。 大変中身の濃い立派な音楽で感動的でした。競い合うのではなく、そ れぞれの団体がそれぞれのカラーを発揮して演奏してくれました。

P.s
アルティ声楽アンサンブルは来年は祇園祭前の黄金時期の京都での 開催となります。7月14日(土)、15日(日)。
皆さん、今から宿泊の予約を!です。

Copyright(C) Keishi.Ito All rights reserved