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「浪漫歌謡」 〜ゴンドラの唄・カチューシャの唄他〜 日本の抒情歌より』

法政大学関西演奏会

デカダンスの中にも特有の芳香を漂わせた大正時代は、たおやかな人情や品性に溢 れんばかりの「浪漫」を感じさせる憧れの時代であったように思えます。はかなき もの、崩れ行くもの、に送る感傷的で情熱的な視線の切なさ、美しさ…。色や匂い、 体温や、優雅で繊細な心の動きに敏感であった時代、言葉は木目細かく多様であり、 言葉あるところにいつも歌が寄り添っていたように思ってしまいます。

さて、このステージでは林光の編曲集「日本抒情歌集」から5曲を選んで演奏して みます。
これは、近代歌曲の中で人々に愛唱されている名曲を林光がアレンジしたものです が、合唱曲としての技巧を凝らすことよりも、愛唱歌を口ずさむ楽しさが心がけら れた曲集だといえます。「抒情歌」のメロディーの雰囲気を損なわないよう、丁寧 な演奏が出来ればと思っています。

1.早春賦(吉丸一昌 作詩・中田 章 作曲 1913年発表)
しばしば南安曇野に滞在した吉丸一昌が雪解け風景を取材したものと伝えられています。

2.ゴンドラの唄 (吉井勇 作詩・中山晋平 作曲 1915年発表)
明星派の歌人吉井勇の詩に中山晋平がつけた当時の流行歌。黒澤明の「生きる」でも再び有名になりました。

3.鉾をおさめて (時雨音羽 作詩・中山晋平 作曲 1926年発表)
往年の名テノール藤原義江の十八番としても有名でした。

4.カチューシャの唄 (島村抱月/相場御風 作詩・中山晋平 作曲 1914年発表)
芸術座で初演されたトルストイの『復活』の劇中歌として大ヒットした流行歌。

5.箱根八里 (鳥居忱 作詩・滝廉太郎 作曲 1900年発表)
ご存知「箱根の山」の昔と今を歌った「ますらおぶり」に溢れた名曲。

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