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わらべうたの風景

アルティ声楽サンサンブルフェスティバル2016パンフレットより

「アルティ声楽アンサンブルフェスティバル」はいつも、子どもたちの「わらべ歌」 から始まります。そもそも島国である我が国は多様性あるフォークロアの宝庫とも 言え、かつて都があった京都にはたくさんのわらべ歌が残っています。
しかしながら、ふと気付いてみれば、今の時代、子供が声を出して駆け回っていると いう光景にはめったにお目にかかれません。かつて路地裏や空き地で展開されていた ような「遊び歌」はもちろん、近所の子供たちを呼ぶのに「○○ちゃん、あーそーぼ」 という声さえ聞くことがなくなってきました。四人集まっても無言でゲームをしてい るなんてことがあるくらいです。大人の社会作りが子供から遊び場を奪っていったわ けですが、この代償はあまりにも大きかったような気がしています。ましてや、わら べ歌や遊び歌は楽譜に残されたり、教育課程 の中に取り込まれたりするようなもの でもないので、近所のお兄さんお姉さん、おじさんおばさん、といった「地域力」の 中で受け継いでいくことを意識しなければならないのではないでしょうか。そのよう に感じたことが今から10 年前に「みやこキッズハーモニー」を作った理由でもあり ました。

「丸竹夷」や「寺御幸」はご存じでしょうか?
通り名の歌は、京都のきれいな区画と道を前提とした歌であるため全国的にも珍しく、 「子どもたちが道に迷わないように」という親心を感じますが、方向音痴の私も便利 に使っています。(ほろ酔いで町を歩くときなど)

わらべ歌や遊び歌にはいろんな役割があります。手を繋ぐ、身体をぶつけ合う、大きい 子が小さい子にルールを教える、一緒においでよと呼びかける、そろそろ帰ろうよと親 が呼びに来て歌いながら手を繋いで帰る、・・・いろんな風景が浮かんできます。そし て、そのいずれもが人と人とが繋がるための役割を果たしているように思えます。わら べ歌や遊び歌を歌い繋ぎながら、コミュニティの力や人と人との絆の大切さに思いを馳 せられればと思っています。

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