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「天使のいる構図」について混声合唱団名古屋大学コールグランツェ第33回定期演奏会よりもうかれこれ20年以上も前の学生時代のことになります。同志社グリ ークラブの学生指揮者を務めていた私は、1か月間に渡るヨーロッパ演 奏旅行の途中、オフの一日をベルンのクレー美術館(旧)で過ごしたこ とがありました。クレーのバイオグラフィーに沿った展示を順番に回り ながら、迷路のような美術館をどきどきしながら階下へ降りていくと、 やがて戦争に伴う苦悩や病による苦痛の時代を経て、最後の三室くらい の行き止まりの部屋に辿りつきました。そこにはシンプルな線だけによ る「天使の絵の連作」が並べて飾ってあったのです。雨の日の平日、観 客もまばらな美術館で立ち尽くしながら過ごしていたことを思い出します。
さて、この「天使の構図」は、2009年の夏に私自身が実行委員長になっ
て主催企画した「The Premier〜真夏のオール新作初演コンサート」で
発表された新曲です。「ぜひ関西から新しい合唱文化を発信していきた
い」という私の気持ちをカワイ出版に汲んでいただき、関西の合唱団と
カワイ出版とがコラボレーションをする形で企画実現した演奏会でした。
北川昇・鷹羽弘晃・松波千映子・松本望という新進気鋭の四人の若手作
曲家に新曲を委嘱し、それを4つの合唱団<Vocal Ensemble《EST》
(三重)・プラバピュアブルーベリー(島根)・クールシェンヌ(奈良)
・なにわコラリアーズ(大阪)>が演奏するという形態を取りましたが、
幸いにして私自身も曲が誕生する瞬間の様々な苦労や喜びに立ち合わせ
てもらい、作曲という作業が決して個人的な作業ではないこと、そして
曲は「歌われること、聴かれること」によって初めて生命が宿るものだ
ということを実感しながら、個性豊かな4つの新作の誕生に関わること
ができました。(全て楽譜として出版され即日販売されています。ライ
ブCDもあり→ちなみにこのシリーズ第2弾はを2012年春に<名古屋>で開
催予定です)。 本日、その念願が叶い、名古屋大学コールグランツェの演奏によって、 混声合唱作品として新たな命を宿すことになるのです。生きていること の「悲しみや苦痛や憂い」そして少しの「微笑み」、そこへ向けられる 「まなざしと励まし」、 …それらを学生とともに力いっぱい表現した いと思います! |