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アルティ声楽アンサンブルフェスティバル2005について

ア・カペラや室内合唱、アンサンブルの祭典として、昨年試行錯誤のうちにスタ ートしアルティ声楽アンサンブルフェスティバル(府民ホールALTI/発案者=座 長は吉村全日本理事長)ですが、今年は「世界合唱の祭典京都」の前夜祭という 趣で<世界の歌声、日本の歌声>を大テーマに開催することが出来ました。
祇園祭の山鉾巡行がちょうど終わった7月17日の午後、松下耕先生の客席を 巻き込んでの講習会<ハーモニーとカノン>で幕を開け、初日はアンサンブルキ アーラ(大阪)、枝幸ジュニア(北海道)、ジャパンユースシンガーズ、響(徳 島)の熱演に大いに盛り上がりました。

ヨーロッパ現代の宗教曲を中心にした前半と日本の労働歌を素材にした後半との 選曲のコントラストも効果的で、特に一週間前までストーブを焚いていたオホー ツクの町から30度Cを越す猛暑の京都へとやってきてくれた「枝幸ジュニア」の 透明な祈りの声、パフォーマンスを交えて地元の労働歌(「阿波」より)を熱唱 してくれた「響」には会場から惜しみない拍手が送られました。最後は招待団体 である「女声アンサンブルJuri」(山梨)が、藤井宏樹先生の解説付きで世界や 日本の音楽素材を意識したバラエティに富んだ曲目を披露し、たっぷりとその実 力を見せ付けてくれました。

2日目の出演団体は、Priceless(大阪)れん(岐阜)雨の樹(京都)Twilight  Bells(大阪)Choeur Liberte(京都)で、バーバーショップ〜台湾民謡〜日本 のわらべ歌と歌い繋ぎ、ア・カペラ合唱の原点とも言うべきルネサンス・バロ ックに回帰しました。
2日目の招待団体は「PROMUSICA VIVA」と「IR」(ともに岐阜)の合同で、こち らも雨森文也先生の解説付きでグレゴリオ聖歌からシェファーのシアターピース 形式での演奏に至るまで、アルティホールの可変舞台と音響の良さとを生かした 構成での熱演でした。両日とも終演後にはホール内の喫茶店で出演者と聴衆を交 えた交流会(500円)を開催しましたが、こちらも歌あり出会いあり、久しぶ りの再会あり・・・、感動シーンも含めて多いに盛り上がりました。

・・・歌とは生きるために必要なもの。共に歌う合唱は共に生きていることを確認 し合う作業。
アンサンブルフェスティバルでは少ない人数で歌うことになりますが、テクニカ ルなこともさることながら、そのプロセスで一人一人のかけがえのなさや、個性、 表現すべきこと、果たすべき役割を確認し合うことが出来ます。それこそ、歌う ことにより、我々が世の中で、(生き、生かし、生かされること)の実感に繋が る作業と言えるのではないでしょうか?
競い合うよりお互いの演奏を聴き合い、声と音楽の多様性やそのアプローチを分 かち合うこと、また、聴き手と歌い手が気持ちを交し合い、語り合うことが出来 るような催しとして展開していきたいと思っています。来年は7月16、17日 で開催!!ぜひ京都でお目にかかりましょう。

2005年『ハーモニー 秋号』より
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