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合唱コンクール活用法について 

本当はコンクール必勝法をお教えしたいところですが、残念ながら必勝法な どありませんので(あっても私は知りませんが)、コンクールに出場する際 の心構えや、コンクールを合唱団や指揮者のステップアップのために活用する 際のアドバイスを行ないたいと思います。
もちろん、私は現在の合唱連盟のコンクールに対し、いくつかの提言を持って はおります。そもそも、音楽に勝敗など付けられるものではないし、コンクー ル=登竜門であるのに、毎年の結果に振り回されすぎることは、合唱文化の 発展からすると、とても勿体無いことです。しかしながら、中高・大学合唱団 や新しい合唱団等にとっては現在のコンクールを上手く活用して、音楽そのも ののスキルアップに繋げたり、団員のモチベーションアップに繋げることは有 意義なことだとは思います。
各地でコンクールの審査員をするようになって、地域ごとの合唱団の特徴と、 逆に地域に関係なく出てくる現象等が分るようにになってきましたので、下記 のことをお勧めします。

●ハーモニーを整えること
(まずは楽譜通りの音を出すこと、その上でバランスを含めてハーモニーを磨くこと)
 →合唱の基本でもあります。アカペラの合唱曲も増えてきましたし、耳を
  使って音程を合わせるという努力を繰り返すと、一人では出来ない合唱
  (ハーモニー、アンサンブル)そのものの魅力が広がるように思います。

●ホールをしっかり鳴らすこと(ホールを想定した発声練習)
 →身体を使った声を作らないと、表現したい気持ちを持っていても伝わら
  ないということです。

●選曲に対するセンスを磨くこと(主に指揮者や技術系の役割でしょうか)
 →人気曲や金賞を取った曲をやれば評価が得られると思う団体が多いと
  思います。
  選曲というのは非常に難しいことですが、情報を収集し楽譜を分析し、
  合唱団の目標値にあったものを選ぶという行為自体は合唱団や指揮
  者を育てると思います。

簡単ですが、以上がコンクールに出るときの心がけとしての三点です。もちろん、 コンクールとは言え、人に何かを伝え表現する演奏場面ですから、もっとエモーシ ョナルなものが大事であることは言うまでもありませんが、より具体的な向上目標 として、上記三点をしっかり意識すると、もらう賞の結果に一喜一憂する必要がなく、 「頑張った財産」が合唱団のスキルアップとして跳ね返ってくると思います。

おまけに、コンクール審査員としての私の感想をもう一つ述べましょう。
「整列が美しくない合唱団から美しい音色が聞こえてくることはまれである。」
これはどういうことでしょうか・・・?経験値の高い合唱団、ゆとりのある合唱団は 並び方にまで気を配るということでしょうか・・・?もちろん並び方がコンクールの 採点に影響することはないのですが、美しく並んだ状態の合唱団からは音を出す 前から音楽の雰囲気が漂ってくるように思います。ぜひ参考までに。

2008年『京都府合唱連盟:かわら版京都』より
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