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京都府立大学合唱団50周年記念演奏会に寄せて

京都府立大学合唱団の50周年記念コンサートでご一緒出来ることを大変 嬉しく思っております。府立大学合唱団との出会いはかれこれ7年くらい 前でしょうか?当時、佛教大学とのジョイントコンサートで合同演奏の指 揮をして以来、サマーコンサートでの客演指揮等を経て、現在では毎年定 期演奏会で一つのステージを指揮させていただいております。50年の歴 史の中では確かにほんの一部分にしかすぎませんが、おそらく一緒に音楽 をした若いOBたちとも一緒にステージに立てるのかと思うとわくわくし ますし、僅かな時間ではあっても歴史の大切の一部分を共有することが出 来たことをとても嬉しく思います。

さて、今回選曲しました「日本の四季」は大作曲家である三善晃氏の近年 の作品ですが、50周年を飾るにふさわしい名曲です。瀧廉太郎の唱歌や 童謡、歌曲を2台のピアノと児童合唱にも彩られながら季節の順番に歌い 続け、有名な「花」で締めくくります。子供時代に口ずさんだことがある ものや、聞いたことがあったり親しみやすい曲ばかりをやさしくアレンジ したものですが、大合唱にふさわしい色彩感に富んだ大作ですので、忙し いOBOGの方々が学生と一緒にチャレンジされるには相応しい曲ではな いかと思います。

私事ですが、最近すっかり歌を歌わなくなってしまった子供たちを見て、 何とか子供にわらべ歌や唱歌を歌わせてみたいと思い京都で新しく児童合 唱の指導を始めました。(共演させていただく予定の 「みやこ・キッズ・ハーモニー」 <団員随時募集中!>です。)子供たちに教えながら感じる ことは「季節感」の重要性です。日本にはそれぞれ繊細な表情をもった四 季があり、四季折々の景色や食べ物や風物が私たちの感受性を養ってきた のではないかと思うのです。我々の現在の生活からはすっかり四季や季節 感が薄まってしまい、年中同じような環境に囲まれていますが、季節の歌 を歌いながら会話することによって繊細な言葉の醸す情感を子供たちと分 かち合っていかなければならないと思うのです。「春の訪れに対する期待 や喜び」「夏の開放感」「秋の寂寥感」「身を寄せ合うようにして過ごす 冬の温もり」…季節に伴う情緒や、諸行事に込められた人々の願いを大切 にしながら、子供に歌を教え、歌い継いでいくことに意義を感じて活動を しております。

今回の「日本の四季」は、まさしく親の世代から未来を託す子供たちまで がひとつの舞台にたち、季節に込められた表情を言葉とメロディーとで大 きな錦を織り成していく作品です。50周年という歴史に節目に相応しい、 しかも決して内輪の祝い事に留まらない意義と喜びとメッセージを、京都 コンサートホールから未来に向けて朗々と歌い上げることが出来たら…と 考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

2007年1月『 京都府立大学OB会誌』に
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